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「井上尚弥と戦えば、あの硬さが命取りに」中谷潤人27歳に求めたい“完璧さ”とは? 同門の元世界王者・伊藤雅雪が解説「爆発力は尚弥にも通用する」
posted2025/03/07 17:02

2月24日、挑戦者ダビド・クエジャルを3回KOで仕留めた中谷潤人。フィニッシュの左フックはルディ・エルナンデス門下生ならではの一撃だった
text by

杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Hiroaki Yamaguchi
「井上尚弥と戦えば、あの硬さが命取りになる」
WBC世界バンタム級王者・中谷潤人の防衛戦は、関係者が座るリングサイド席で静かに見守っていた。現在はトレジャーボクシングプロモーションの代表を務め、プロモーターとして活躍する伊藤雅雪の目は厳しい。元WBO世界スーパーフェザー級王者の34歳はかつてルディ・エルナンデストレーナーに師事したこともあり、同じ門下生の中谷とは旧知の仲。立ち上がりの動きは、よく知る後輩のそれとは違って見えた。
「初回から少し硬かった。クリーンヒットはもらっていませんが、ダビド・クエジャルにパンチを当てられる場面もありましたよね。ガードの上であっても、ちょっと不用意だったのかなって。恐れずに突進してくる相手の動きを完全に止め切れてはいなかったので。今回、潤人は深い位置(遠い距離)でボクシングをしようとしている感じでしたから」
気になったのは、中谷の左ストレート。ノーモーションでガードの間を射抜き、きれいにヒットさせていたが、さして驚くこともない。鋭い左パンチを持っているのは知っている。むしろ、狙い過ぎている印象を受けたという。
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「確かに左は当たっていました。ただ、良いときは流れのなかでナチュラルにあれが出ます。もっときれいなボクシングができたはずです。潤人には完璧を求めているので」
伊藤は近い将来のドリームマッチを想定しながらリングに目を向けていた。自ずと比較対象になるのは、世界スーパーバンタム級4団体統一王者。指標があるからこそ、見る目も余計にシビアになるようだ。
「もしも井上尚弥と戦えば、あの序盤の硬さが命取りになります。少しでもスキを与えると、やられかねない。尚弥が立ち上がりで、硬くなることはありませんから。ルイス・ネリ戦で初回にダウンしていますが、あれは打ちにいったタイミングでもらっただけかなと。どの試合を見ていても、ほぼ完璧です」