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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「潤人、いま彼女はいるの?」中谷潤人17歳の“まるで大谷翔平”な答え…井上尚弥戦を同門・伊藤雅雪が展望「その前にルイス・ネリと戦うのも面白い」
text by

杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byNaoki Kitagawa
posted2025/03/07 17:03
10代の頃からボクシング一筋の中谷潤人。同門の元世界王者・伊藤雅雪氏は「大谷翔平のようなメンタリティ」と形容した
「一番不気味な存在」IBF王者・西田凌佑との統一戦へ
16年12月に全日本フライ級新人王決定戦で矢吹正道(現IBF世界ライトフライ級王者)を判定で下し、翌年8月には日本ユースフライ級王座決定戦でユーリ阿久井政悟(現WBA世界フライ級王者)にTKO勝利。プロデビューから2年あまりが過ぎると、すでに大器の片鱗は見えていた。
「もともと細かった体ができてきたこともありますし、能力値を示す円形グラフがあるとすれば、すべての能力が高くなり、大きな円になっていった印象です。昔はそんな選手ではなかったんですけどね。パンチ力、スピード、反応など、何かが特別に秀でているわけではなかったので。コツコツと練習してきたタイプだと思います」
若い頃から物腰が柔らかく、おっとりしていた。顔を合わせるたびに柔和な笑みを浮かべ、気持ちの良い挨拶をしてくれる。ただ、リングに入ると、嘘のように獰猛になる。
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「昔もいまも気持ちはめちゃくちゃ強い。試合になると、『やってやるぞ』という気迫をみなぎらせているので。仕留めに行く殺気みたいなものはすごい。今回のダビド・クエジャル戦も、戦意を喪失させるくらいまで畳み掛けていましたし」
まとめるときの迫力は増すばかり。フライ級、スーパーフライ級を経て、バンタム級では4戦目。階級にフィットし、よりパワーが生きるようになってきた。アメリカで指導するトレーナーのルディ、岡部大介に話を聞くと、最近ではスパーリングのパートナーを探すのもひと苦労するほどだという。
「『スパーは誰とやっても相手にならない』って。少し前までは優位に進めるくらいだったのが、いまはどんなボクサーが来ても圧倒してしまうと」
バンタム級では頭ひとつ抜けた存在になり、実力の拮抗する相手を見つけるのも難しくなっているのが現実。2月24日のクエジャル戦後、有明アリーナのリングで2団体統一戦の口約束を交わしたIBF世界王者の西田凌佑とのマッチメークは、果たして見応えのある試合になるのか。現在、トレジャーボクシングプロモーションの代表を務める伊藤は、興行主の目線で話してくれた。
「潤人の有利は変わらないですが、そんなに簡単に終わらないのかなって。僕は西田がバンタム級王者のなかで、一番不気味な存在だと思っています。相手の良さを消すのがうまいし、打たれ強い。ハートのある西田は、前にも出ていけますから。打ち合いになる可能性だってありますし、実現すれば面白いカードになると思います」


