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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
原晋監督は「通信教育で勝てるほど甘くない」それでも青学大・太田蒼生が東京マラソンで“無謀な挑戦”に挑んだワケ 若林宏樹、黒田朝日との違いは…
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph byYuki Suenaga
posted2025/03/04 06:00
2時間1分台のタイムも見据える先頭集団のペースに果敢にチャレンジした青学大4年の太田蒼生。実は若林宏樹や黒田朝日とは異なるプロセスでマラソンに挑んでいた
太田の20kmまでの5kmごとの通過タイムは以下の通りだ。
5km 14分24秒
10km 28分54秒(14分30秒)
15km 43分29秒(14分35秒)
20km 58分07秒(14分38秒)
ちなみに、鈴木健吾が日本記録を打ち立てた時の20kmの通過は59分21秒で、それよりも1分14秒も速い。いかにハイペースを刻んでいたかがお分かりだろう。
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さらに、太田は中間点を1時間1分19秒で通過。前半が下り基調とはいえ、太田のハーフマラソンの自己ベスト1時間2分30秒よりも1分以上速かった。
もっとも、太田は大学3年時の箱根駅伝では3区21.4kmを59分47秒、ハーフマラソンに換算すれば59分を切るペースで走破している。この時のペースを鑑みれば、これほどのハイペースでも太田は“速過ぎる”とは感じていなかったかもしれない。
しかしながら、42kmを走り切る上では速過ぎたのも事実。中間点を過ぎると、太田の表情は明らかに変わり、苦しい走りになった。22km過ぎに先頭集団から遅れをとると、28.3kmで第2グループにも吸収され日本人トップの座を明け渡した。
それでも30kmの通過タイムは1時間28分50秒と、服部勇馬(東洋大→トヨタ自動車)がもつ日本学生記録よりも2秒速かった。下り基調のため公認記録にはならないものの、ペースダウンしながらもここまでは踏ん張っていた。
しかし、その後さらにペースが落ち、30~35kmの5kmは18分もかかってしまった。結局、太田は低体温と低血糖のため36kmで途中棄権に終わった。
若林、黒田とは異なるマラソンへのアプローチ
別府大分マラソンでは若林宏樹が2時間6分7秒で2位(日本人1位)、大阪マラソンでは後輩の黒田朝日が2時間6分5秒で6位(日本人3位)と、青学大勢が立て続けに日本学生記録を更新していただけに、太田の走りにはより注目が集まっていたが、3レース続けて快挙達成とはならなかった。
ただ、実は太田にはこれまで快走を見せた若林、黒田とは少々置かれた状況の「違い」があったのだ。
<次回へつづく>

