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東大・京大合格30人…富山の“偏差値70”超進学校が「練習は毎日1時間半」「推薦ナシ」でも2年連続全国高校駅伝出場のナゼ 選手の「意外な胸の内」は?
text by

山崎ダイDai Yamazaki
photograph by富山中部高校提供
posted2025/02/22 11:01
初出場の2023年都大路でタスキをつなぐ当時1年生の高倉亜子と当時2年生の柴田美冴。大会後は彼女たちも進路に向けて決断を迫られることになる
そんな2人の頑張りもあって、昨秋も無事に県大会で優勝。連覇を達成し、2年連続の都大路も決めた。
「2023年はノープレッシャーでしたし、怖いものもなかった。でも2024年はまた3年生が残ってくれたこともあって、『前年の成績を上回らないといけない』という重圧がやっぱりありました。楽しくないわけじゃないんですけどね……」
その重圧も影響してか、都大路の本番は58位と最下位に終わる。
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前年から抜けたのが佐伯ひとりだけだったことを考えると、不完全燃焼の結果だった。タイム上でも前年を上回ることができず、毎年、変わらず結果を残す難しさを痛感したという。
とはいえ、これで来季の新3年生は1年生から2年連続で都大路を経験したことになる。
負け知らずのまま、名実ともに「県内最強チーム」として戦うことになる新シーズン。では、果たしていま、彼女たちの胸の内はどんなものなのだろうか。水原監督はこうおどけてみせる。
「いまは『秋冬の駅伝まで続けるの?』なんて怖くて聞けないです(笑)。この段階で『走らないです』なんて言われた日には、もうチームのモチベーションも変わってしまう。去年は残念ながら全国では最下位だったので、それこそレース後は2年生に『このままでは終われんな』『来年もう1回出よう』とは言って、その時は頷いていましたけど……本当はどうなんだろうなあ」
超進学校の指導者ならではの悩みは尽きないのだ。
新3年生のリアルな胸の内を聞くと…?
果たしてその葛藤を裏付けるように、選手たちの声を聞くとその胸の内は意外とシビアなものだった。
昨年の都大路で1区を走った中島由稀は、理系で国公立大の工学部か理学部を目指しているという。現在のリアルな思いをこんな風に語ってくれた。
「実際にエース区間の1区を任されて、『もっと上に……』みたいな気持ちよりも、強豪相手に『これはキツい!』という気持ちの方が強くて。正直、今は“続けない”の方に傾いています」
同じくアンカーを務めた高倉亜子は、新チームのエース候補。国公立大の薬学部を目指している。その高倉も、いまのところ駅伝シーズンにはネガティブだ。
「1年生から2年連続で都大路を走らせてもらって、去年は結構練習を積んできたつもりだったんです。でも、あの結果で……やっぱり全国の強豪との差は大きいなぁと思ってしまいました」
「大学では心理学を学びたい」と語る4区を任された浦田悠希子も、にべもない。
「私はもともと専門が競歩なので、来秋の駅伝はやめておこうかな……と」



