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東大・京大合格30人…富山の“偏差値70”超進学校が「練習は毎日1時間半」「推薦ナシ」でも2年連続全国高校駅伝出場のナゼ 選手の「意外な胸の内」は?
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山崎ダイDai Yamazaki
photograph by富山中部高校提供
posted2025/02/22 11:01
初出場の2023年都大路でタスキをつなぐ当時1年生の高倉亜子と当時2年生の柴田美冴。大会後は彼女たちも進路に向けて決断を迫られることになる
そして11月。運命の富山県予選を迎える。
水原は、タイムなどを総合的に比較した実力では富山商と「ほぼ互角」だと思っていた。だが、なにしろ相手は県大会31連覇の絶対王者である。「なんだかんだで合わせてくるだろうとは思っていた」と水原は振り返る。
それでもレースは序盤から、勢いに勝る富山中部の主導で進んだ。
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1区から富山商をリードすると、3区でインターハイ経験者の柴田美冴が首位に躍り出る。アンカーを務めた佐伯にタスキが渡った時、その差は11秒のリードだった。水原が振り返る。
「富山商さんの近くでレースをしていれば、30秒差までなら負けていても佐伯でひっくり返せる可能性があると思っていました。それが先頭でタスキがつながった時点で、『行けるかも』じゃなく『行ける』と確信に変わりました」
最後は佐伯が区間賞の力走で締め、王者の32連覇を阻止。富山中部としても初となる女子の都大路出場を決めた。
「本当に優勝したんかな? 最後まで信じられなかった」
ガッツポーズでゴールに飛び込んだ佐伯本人が、そう振り返る大金星だった。
初の都大路出場…再びぶつかる「進学校の壁」
12月に初めて出場した都大路は、58チーム中55位という結果だった。
もちろん全国の壁の高さは痛感した。その一方で、1年生、2年生は「本当に全国に行けるんだ」ということも体感できた。当然、自信はつく。きっとこの結果を見て、有望な新入生も入ってくるだろう。来年は「より頑張ろう」と奮起し、ここから富山中部高女子駅伝チームの黄金時代がはじまる――わけではなかった。
「結局、佐伯と同じような状況がやっぱり生じて。新3年生も都大路が終わった直後から『来年ももちろん頑張ります!』というような状態にはならなかったんですよね(笑)」
むしろ全国高校駅伝を走れてしまった上に、何人かは年始の都道府県対抗女子駅伝のメンバーにも選ばれたことで、2度も都大路を走れてしまった。その結果、選手の中にはある種の満足感も出てきていた。
「もうこればっかりはウチの宿命です。『来年も都大路を目指そうよ』とはもちろん言いますけど、そこの決断は生徒次第ですから。良い悪いはないんです」
結局、2024年の3年生は前年の都大路経験者3人のうち2人は冬まで残り、残る1人はもともと短距離がメインということもあり、夏で引退した。
「残った2人もやっぱり『もう十分やったかな』と思った瞬間はあったみたいです。でも、インターハイ路線の大会とかを経て、やっぱり去年『やり残したことがある』と思ったようで」


