野球のぼせもんBACK NUMBER

ソフトバンクで異例人事「“32歳の元高校教師”がコーチに…」あの近藤健介から突然のDM「えっ、本物?」異色の野球YouTuber・菊池拓斗とは何者か 

text by

田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

PROFILE

photograph byKYODO

posted2025/02/18 06:00

ソフトバンクで異例人事「“32歳の元高校教師”がコーチに…」あの近藤健介から突然のDM「えっ、本物?」異色の野球YouTuber・菊池拓斗とは何者か<Number Web> photograph by KYODO

ソフトバンク、今春キャンプの様子。写真は近藤健介と柳田悠岐

「日本で、アメリカ式みたいなバッティングフォームが浸透しにくい理由の1つとして、その特徴的な部分だけが拾われているように感じるのです。アッパースイングとか、パワー重視とか、後ろ重心で打つとか。いわゆる、これまでの日本野球の常識とは真逆のことばかり。僕は完全にアメリカ式を教えているつもりはなく、あくまで“正しい動き”や“正しいバットの軌道”は何かを突き詰めたものを伝えています」

近藤健介からDM「えっ、本物?」

 1つ例を挙げるとすれば、日本ではバットは『上から叩いて』『ヘッドを立てろ』と教わるのが一般的だ。しかし、菊池は「ボールを打つ瞬間は、バットのグリップがヘッドより上になるのが理想のスイング軌道です。人によってはヘッドが寝ていると見えてしまうかもしれませんが、それは別の問題なのです。僕のユーチューブの中では『グリップアップ』という表現をしています」と考えを示してみせた。

 そんな打撃理論に食いついたのが、ソフトバンク・近藤健介だった。2年前の3月、侍ジャパンの一員としてWBCの事前合宿に臨んでいたところ、菊池の動画チャンネルを見て興味を持ったらしい。ほどなくして、菊池のインスタグラムに近藤からダイレクトメッセージが届いた。

ADVERTISEMENT

「最初は、えっ本物?ですよ(笑)。『今すぐレッスンできますか?』とのことでしたが、お互いの都合がつかずにそのタイミングでは実現しませんでした」

「近藤選手とは別の理由だと聞いてます」

 近藤は「動画を見ただけで、めちゃくちゃいいと思って取り入れた。おかげで、WBCで打てた」と話すほどだった。さらにその年のレギュラーシーズンは打率.303、26本塁打、87打点の成績。球界きっての安打製造機と呼ばれた男は、本塁打と打点の2冠王にも輝いて球界最強打者と呼ばれるようになった。シーズン後の年末に2人はようやく直接会い、菊池は24年1月の徳之島での自主トレに3日間参加して、近藤に打撃指導を行った。昨年の近藤は打率.314、19本塁打、72打点で自身初の首位打者を獲得している。

「ただ、今回ソフトバンクから声をかけていただいたのは、近藤選手とはまた別の理由だと聞いています」

 菊池のその言葉を預かって、入団経緯を説明してくれたのはソフトバンク球団のデータサイエンスコーディネーターを務める関本塁だ。

【次ページ】 大学の先輩・山川と再会

BACK 1 2 3 4 NEXT
#福岡ソフトバンクホークス
#小久保裕紀
#山川穂高
#近藤健介
#村上隆行
#長谷川勇也
#明石健志
#菊池拓斗

プロ野球の前後の記事

ページトップ