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吉田知那美「泣きそうになりました」日本選手権はチケット完売、カーリングはなぜ“視聴率の取れるスポーツ”になったのか? 観客を生む「2つの要素」 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2025/02/15 11:02

吉田知那美「泣きそうになりました」日本選手権はチケット完売、カーリングはなぜ“視聴率の取れるスポーツ”になったのか? 観客を生む「2つの要素」<Number Web> photograph by AFLO

日本選手権では準決勝敗退となるも、代表決定戦への進出が決まったロコ・ソラーレの藤澤五月と吉田知那美

北京五輪女子決勝の視聴率は「なんと29.2%」

 会場と放送で観戦する人々の反響の大きさが成功に結びついたが、以前からカーリングの「見る(観る)スポーツ」としてのポテンシャルを指摘する声はあった。

 それは数字にも裏付けられている。

 2022年北京五輪の全競技で、最も平均世帯視聴率が高かったのは日本代表(ロコ・ソラーレ)が登場したカーリング女子決勝の29.2%で、2位は準決勝の26.7%であった。この2試合に限らず1次予選リーグの対アメリカ戦でも19.0%を記録するなど関心の高さをうかがわせた。

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 同じくロコ・ソラーレが出場した2018年平昌五輪でも、1位こそ羽生結弦が金メダルを獲得したフィギュアスケート男子フリーの33.9%に譲ったが2位は韓国戦の25.5%、3位は、3位決定戦の25.0%というように高い視聴率を誇った。

 メダルを獲得したこの2大会に限らない。2014年ソチ五輪には北海道銀行(小笠原歩、船山弓枝、小野寺佳歩、苫米地美智子、吉田知那美)が出場。予選リーグのロシア戦で16.3%、イギリス戦で15.5%など全競技中でも上位の数字を残している。

 2010年バンクーバー五輪のチーム青森(目黒萌絵、近江谷杏菜、本橋麻里、石崎琴美、山浦麻葉)も試合ごとの反響が大きかった。

トリノ五輪の帰国時は空港がパニックに

 2006年トリノ五輪にはチーム青森(小野寺(小笠原)歩、林(船山)弓枝、本橋麻里、目黒萌絵、寺田桜子)が出場。フィギュアスケートで荒川静香が金メダルを獲得するまで日本勢はメダルなしだったこともあって、熱戦を続けるカーリングへの関心が高まり、ワイドショーなどで連日取り上げられた。また、スポーツメディアでは大会総集編号でカーリングを表紙にする計画も進められていた。

 チーム青森の帰国時の空港は出迎えるファンで埋め尽くされた。大会後にオリコンが実施した感動した選手のアンケートでは、男女を通じて唯一金メダルを獲得した荒川静香が1位になり、小野寺(小笠原)歩が2位であったことも一エピソードだ。

 トリノ五輪直後の日本選手権ではその余韻から、空前絶後と言える観客とメディアが押し寄せた。余談ながら、この日本選手権の予選リーグで日本代表のチーム青森を破るなどして3位となり大きな注目を集めた中学2年生たちがいた。そのチームが「常呂中学」で、スキップを吉田知那美、セカンドを小野寺佳歩、リードを鈴木夕湖が務めていた。

 さらには1998年長野五輪の男子日本代表、敦賀信人らがクローズアップされ、大会を振り返る特集でも取り上げられたことも記憶される。

【次ページ】 カーリング人気を生み出す「2つの要素」

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