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ラグビーPRESSBACK NUMBER
「意図的に勧誘しています」なぜ“常勝軍団”帝京大ラグビー部が“超進学校”出身者を狙うのか?…「以前は強豪校のキャプテンばかりでしたが…」
text by

大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/02/12 11:04
2022年から帝京大ラグビー部の指揮を執る相馬朋和監督。常勝軍団のリクルーティングには以前とは違った信念があるという
「こういう子は帝京らしい、というステレオタイプはないんです。強いて言えば、どんな立場でも努力する子。どんな立場の子でも努力するから組織に多様な視点が備わる。どんな細かいところも必ず誰かが見ている。死角がないんです」(相馬監督)
過去の不祥事で感じた「多様性」の重要さ
多様性、多様な視点にこだわるのは、過去の自分たちを直視しているゆえだ。帝京大ラグビー部は1998年に一部の部員の不祥事が発覚し、1年間の対外試合自粛を経験した。それから四半世紀以上の時間が過ぎた。若い世代にとっては聞いたこともない話だろう。だが相馬監督は、自チームの歴史に刻まれた忌まわしい過去について、部員全員に対して「包み隠さず」伝え続けているという。
「あの時点で自分がこうしていれば……と考えることは当時も今もたくさんあります。私にできることは、事件を忘れないこと。教訓を継承していくこと。それを今の選手にも、自分事として考えさせることです。自分はどう行動すべきかだけではない。周りの部員に対してどう接するかも含め、ルールを決めて守らせるのではなく、自分で考えて行動規範を作ってほしい」
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グラウンドの中を注視すれば、強い理由はいくらでも見つかる。選手のフィジカルの強さと技術の確かさ。的確なプレー選択に覗く競技への深い理解力と、厳しい展開でも動揺しない精神力。それを支える合理的なトレーニングや食事など栄養面の意識の高さと努力も容易に透けて見える。
けれど相馬監督の話を聞いて、帝京大ラグビー部の根本にある強さとは、ラグビーにおいて最も大切な「視点の多彩さ、多様性」なのだと改めて思った。

