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「甲子園あの熱血監督はなぜ退任したのか?」センバツ21世紀枠選出から“たった半年”で…別海高その後「監督の厳しさ…受け止め方が違ったのかも」 

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柳川悠二

柳川悠二Yuji Yanagawa

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posted2025/02/07 11:02

「甲子園あの熱血監督はなぜ退任したのか?」センバツ21世紀枠選出から“たった半年”で…別海高その後「監督の厳しさ…受け止め方が違ったのかも」<Number Web> photograph by Yuji Yanagawa

北海道・別海高校を昨春のセンバツ甲子園に導いた島影隆啓前監督

「町民のみなさんから『挑戦して欲しい』という声をいただいていて、自分としても恩返しの意味も含めてやりたい気持ちはあるんです。ただ、野球を続けるにしても、漁師としてしっかり修業をしながら、というのが条件になる。卒業後、球団と話しあう機会を作りたいと思っていて、うまく両立ができるようなら、考えようと思っています。今は漁師になることが最優先です」

別海高ナインの“進路”

 聖地の土を踏んだ別海高校のナインで、3月1日に卒業する3年生は9人だ。強豪校や常連校のように、大学や社会人で硬式野球を続ける選手は少なく、セカンドを守っていた千田涼太と遊撃手の影山航大のふたりだけが星槎道都大で野球を続ける。エースの堺暖貴は北海学園大に進学するが、熱心な勧誘を受けた硬式野球部には入らないことを決断した。

「甲子園のマウンドに立つことができて、これからの人生であれほど緊張する場面はないと思うんです。それを経験できただけでも人生において大きな出来事でした。高校野球をやっていた頃から、野球は高校で区切りをつけようと思っていました。大学で中学か高校の社会科の教職免許をとりたくて、野球部に入るとそれも難しくなるのかな、と。もともと勉強が好きでしたし、勉強を教えるのも好きだった。将来は世の中の多様性をしっかり伝えられる先生になって、野球部を教える機会があれば挑戦してみたい」

エースが語った“監督の厳しさ”

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 堺にも島影の退任について訊ねた。

「自分たち3年生の代と、今頑張っている2年生の代とでは、ちょっと雰囲気に差があるのかなと思う。監督の厳しさに対する受け止め方が、僕らと下級生では違うのかもしれない」

 別海の歓喜からわずか1年——。甲子園に導いた島影は監督を退任し、23年秋の北海道大会でベスト4に進出したバッテリーはいったん、野球とは距離を置くことになる。

 甲子園に出場したとしても、わずか1年でその快挙は夢物語となり、聖地は再び遥か彼方へ遠のいていく。これが地方の公立校が直面する現実なのだ。

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あの甲子園出場校で異変「なぜ熱血監督はやめたのか?」センバツ半年後“まさかの退任”…本人が語る“猛練習はNG”の今「地方公立校で甲子園は厳しい」

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