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「ユウキの評価は“A”ではなく“B”だが…」河村勇輝がNBA記者の心を揺さぶった“12分間”「3P成功率が上がれば今後が本当に楽しみ」
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杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byAP/AFLO
posted2025/02/06 17:02
河村勇輝(23歳)のここまでの歩みを、グリズリーズの番記者はどう評価しているのだろうか
ここまではやはりGリーグでのプレーの話が中心になるが、ティップオフトーナメントとシーズンを合わせたら、彼はハッスルで15戦をプレーし、平均8.9アシスト、2.5ターンオーバー。これはスタメンPGとしても申し分のない数字だ。
開幕から故障離脱していたGG・ジャクソンが1月中旬に復帰したとき、まずはGリーグで3戦をプレーすることになった。その背景にはもちろんジャクソン自身がGリーグで錆びつきを落としたいと考えたというのもあるが、それと同時にユウキのような優れたパサーと一緒にプレーすることが準備面で役に立つというチームの判断があった。そういう貢献ができるPGはGリーグにそれほど多くいるわけではない。私が思った通り、ユウキは残してきた数字通り、いやもしかしたらそれ以上に、グリズリーズのオーガニゼーションを押し上げているというのが私の意見だ。
評価が「A」ではなく「B」の理由
もちろんすべてが順風満帆だったわけではない。一つ注文があるとすれば、シュートの精度を改善させてほしいというのがチーム側の希望だろう。
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ユウキには得点力はあるが、NBAでの3P成功率は26.7%、Gリーグでも31.9%に過ぎない。これらはグリズリーズが望む確率ではなく、この部分の向上こそがNBAで安定してプレーしていくための鍵になる。シュートの部分を差し引き、採点は「A」ではなく「B」としたわけだ。
チームが期待するユウキの能力が存分に発揮された一戦ということで、ここまでで最も印象に残るゲームとしては1月29日のハッスル対オクラホマシティ・ブルー戦を挙げておきたい。この試合はロースコアの接戦になり、第3クォーター開始時点ではハッスルはブルーにリードを許していた。しかし、ユウキが第3クォーターに7本の3Pを沈め、この12分間だけで21得点を挙げ、チームを勝利に導いたんだ。
ユウキがこのように3Pを高確率で決められるのであれば、今後が本当に楽しみになる。彼がいいパスが出せることはもうグリズリーズの人間はわかっている。それと同時に、シューターとしてのポテンシャルも大いに示してくれたゲームだった。

