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「ミトマのサウジ移籍の噂、教えてくれ」英国人記者が大騒ぎ…「じつは172億円、再オファー報道も」現地で日本人記者が聞いた、三笘薫へのオファー拒否“全真相”
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田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2025/02/04 19:51
ブライトン三笘薫27歳。現地時間1月30日に突然、サウジアラビアからの巨額オファーがニュースになった
その後、先輩の邦人記者と昼食をとっていると、クラブ広報が近づいてきて、「安心して。移籍はないから」と伝えてきた。サウジアラビアの移籍期間は31日までだったが、イングランドは2月3日の深夜まで市場が開いている。イングランド内の移籍に可能性を残しているものの、広報の言葉により、スッキリした気持ちで試合開始の瞬間を迎えることができた。
しかしながら、今度はピッチのブライトンがまさかの大ブレーキとなった。前半12分に守備の隙を突かれ失点すると、今度はCKから失点。さらに1失点目と同じように左サイドを攻略されて3点目を許した。前半32分までに3点のリードを与える厳しい展開。現在リーグ3位と好調ノッティンガム・フォレストに手も足も出なかった。
するとファビアン・ヒュルツェラー監督は、ハーフタイムに3人の交代を命じた。その中のひとりが三笘だった。ブライトン加入後、日本代表MFが前半だけで交代を命じられるのは初めてのことだ。
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選手たちの動きが悪い上に、監督の采配と配置にも問題があるようにも見えた。攻撃時に3−2−5に変形するフォレストに対し、「ワンボランチ+4バック」で守備をするブライトンは、ディフェンスが明らかに手薄。陣形の噛み合わせが悪く、むしろ監督の選んだ布陣に問題があるように思えた。
しかし弱冠31歳の指揮官は、三笘とジョアン・ペドロ、ジャック・ヒンシェルウッドの3人を前半だけでベンチに引っ込めた。だが試合の流れが変わるわけでもなく、さらに4ゴールを献上──。最終的に0−7の惨敗を喫したのである。
まさかの7-0大敗…三笘が“先頭で謝罪”
試合後、筆者が思わず身を乗り出した一コマがあった。
試合が終わると、前半だけで退いていた三笘はベンチコート姿でピッチに入ってきた。サムライ戦士がまず声をかけたのは、右ウイングとしてフル出場したヤンクバ・ミンテ。ウイングながらSBのように守備でも走り続けたミンテは、終了のホイッスルと共にピッチに倒れ込んでいた。三笘は、ガンビア代表に言葉をかけて起き上がらせると、そのままゴール裏に陣取るブライトンサポーターの元へ。すると、選手団の最前列まで歩を進め、“もっと前に出て、サポーターに挨拶を”と言わんばかりに、他のプレーヤー達に前へ出るようジェスチャーで促した。
普段、勝利した試合では3列目あたりから静かに歓喜の輪に加わる三笘だが、大敗を喫したこの日は選手たちを先導し、大敗をファンに謝罪したのだった。
試合後、三笘は言う。
「恥ずかしい試合でした。僕自身も……言い訳できない試合をした。セットプレーを警戒しないといけなかったのに失点した。ロングボールを蹴ってくる中でセカンドボールを拾えなかった。 相手も数的優位を作るのがうまかったが、配置的になかなかハマらなかった。強度も足りなかったし、全てが悪かった」
筆者は、試合後の一コマについて聞いてみた。「ファンへの挨拶時、チームメイトを促していたように見えました。どういう気持ちで?」と。三笘は静かに答える。


