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「青学大に3分16秒差…誤算でした」箱根駅伝で勝負を分けた5区に、駒澤大・大八木弘明総監督の本音…それでも総合2位に「安堵感はあった」と語る理由 

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加藤康博

加藤康博Yasuhiro Kato

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2025/01/30 11:00

「青学大に3分16秒差…誤算でした」箱根駅伝で勝負を分けた5区に、駒澤大・大八木弘明総監督の本音…それでも総合2位に「安堵感はあった」と語る理由<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

今年の箱根駅伝では総合2位となった駒澤大学の大八木弘明総監督のインタビュー(前編)

「青学に3分16秒差まで…」大八木が打ち明けた“誤算”

 そして勝負の分かれ目となる山だ。4区を終わってトップを走る中央大との差は2分17秒。2位、青山学院大とは1分32秒差の4位だった。タイム差のつきやすい5区で反撃に転じたいところだったが、ここで青山学院大、若林宏樹が区間新の快走を見せて先頭に立った一方で、山川は区間4位に留まり、順位も上げられなかった。ここで先頭の青山学院大との差は3分16秒にまで広げられた。

 さらに6区も駒澤大は伊藤蒼唯が区間歴代5位の好走で3位に浮上するも、青山学院大、野村昭夢が区間新の走りで上回った。この山の2区間でついた差は2分35秒。レースの展開を考慮しなければならないので単純な比較はできないが、フィニッシュでの差が2分48秒だったことを考えると、山が勝負を分けたと言うこともできる。大八木もこの点については同意する。

「5区が終わった時点でせめて1分30秒か2分以内で収めていれば、復路で勝負ができたかもしれませんが、青山学院大に3分16秒差まで広げられたのは誤算でした。山川は2区を想定したトレーニングをしていた時期もあり、やや山対策に不足があったかもしれません。

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 6区の伊藤もよく走りましたが、野村選手は大きなストライドでそれ以上の走りでした。この2区間で流れを持っていかれてしまったことが、総合成績に影響したことは間違いないですね。“タラレバ”にはなりますが、ここで互角の戦いができていたら、7区の佐藤圭汰で一気に流れを引き寄せることができた可能性はあります。伊藤は好走しましたし、山川も決して悪くなかったですが、それを上回られたということです」

実は悩んでいた“佐藤圭汰の起用法”

 7区ではこちらもGgoatで大八木が指導する佐藤が約10カ月ぶりのレースながら圧巻の走りを見せ、区間新記録を樹立し、青山学院大との差は一時、1分40秒にまで迫った。この時点で“もしかしたら”という期待感が駒澤大ファンの胸のうちに生まれたことだろう。結果的に再度、青山学院大との差は開いたが、それでも復路のタイムでは上回った。大八木はこの結果を価値のあるものだと話す。

「総合では2位ですが、新記録で復路優勝できたことは選手にとって自信になったと思います。駒澤大は2年生から伸びてくる選手が多いのが特徴で、今季もまさにそうした選手が多く出てきました。圭汰がいたとは言え、復路には箱根初出場3人がいて、この結果を手にできたことは大きいです。

 圭汰は3区か7区かで悩んだところもありましたが、エースを育てるという意味で3区に1年生の谷中晴を置き、そこで期待通りの走りをしてくれました。4区区間4位の桑田駿介と合わせていい経験ができたと思いますし、これは来年につながります。新年度は4年生となる圭汰、山川、伊藤、帰山を中心に、大学駅伝3冠を狙えるだけの戦力になると思いますし、狙っていかないといけないですね」

【次ページ】 「沿道からの声かけはまだ慣れない」

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