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青学大“原チルドレン1期生”の本音…原晋監督の実像とは?「あの頃はおしゃべり好きなおじさん(笑)」箱根駅伝に出られなかった4年間の“本当の意味” 

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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posted2025/01/14 11:02

青学大“原チルドレン1期生”の本音…原晋監督の実像とは?「あの頃はおしゃべり好きなおじさん(笑)」箱根駅伝に出られなかった4年間の“本当の意味”<Number Web> photograph by Number Web

現在は地元のみよし市役所に勤める横田竜一さん。“原チルドレン1期生”の青山学院大学OBとして、原晋監督の実像について語った

 じつは、こんな余話がある。

「宇野は高校の後輩なんですよ。あの時、僕の10区の付き添いをしてくれたのも宇野でした。今でもイジってこう言いますね。『あの笑顔のゴールだけどさ、何位だと思ってんの』って(笑)。そこからはだいぶ途切れるんですけど、その次が確か神野(大地・3代目山の神として、2015年箱根駅伝の初優勝に導いた)君。もう次元が違いすぎて、高校の後輩という感じはしませんけど、彼も中京大中京高の卒業生です」

 原監督が宣言した「10年で優勝」とはならなかったが、チームの成長に合わせて目標達成の練熟度を上げていく、そのプロセスと手腕は見事なものだった。

一時は「ニート」を経験も…地元を愛する公務員に

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 卒業後の、横田さんの人生についても触れておきたい。

 就職先に選んだのは、居酒屋のチェーン店。「ただ居酒屋の雰囲気が好きだったから」という単純な志望動機で入社したが、太陽の光を見ない昼夜逆転の生活に疑問が生じ、一年も経たずに退社した。その後は一時、ニートのような生活を送っていたという。

「その時、考えたんですね。自分は本当は何がしたいんだろうって。高校の時、みよし市から名古屋の学校に行って、同じ県内なのに誰もみよしのことを知らなかった。それがすごく悔しくて、学園祭の時に胸に『みよし』って書いたTシャツを着たのを思い出したんです」

 故郷への愛情に気がつくと、横田さんは一念発起して公務員試験のための勉強を始めた。2010年春にみよし市役所への採用が決まると、スポーツ課や産業課など、様々なジョブローテーションを重ねて地元の発展に寄与してきた。名産の果物にキャッチコピーをつけたり、名刺のデザインをしたり、開庁時間を「9時~17時」に改めたのも横田さんのアイデアだ。市役所の仕事を通じて、地元愛はますます強くなっているという。

「消滅可能性自治体ってワードがありますけど、絶対に人口が減る町にはしたくないんです。今は財政的にも余裕があって、人口も微増しているけど、その現状にあぐらを掻きたくない。たとえば『うちの会社』とか『うちの大学』って言葉は、愛着がないと言えないと思うんです。『うちの市はね』って、住んでいる方にそう言ってもらえるような町にしていきたいですね」

【次ページ】 「社会に出ると、監督の言っていたことがよくわかる」

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