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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「なぜクボ使わないの!?」ファンが疑問の起用法でも“移籍の噂”でもなく…久保建英23歳の焦点は「魂を込めた」バルサ戦と“裏腹の課題”
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2025/01/13 17:21
強豪相手に好プレーを続ける久保建英。起用法や移籍の噂は気になるところだが……。
ELマッカビ・テル・アビブ戦から中2日で迎えた11節のオサスナ戦でチームは敗戦。久保が途中出場だったこともあり、「なんでクボを使わないんだ!」とのファンの声が聞こえてきそうだったが――順位を上げつつある一方で過密日程であることを考慮したイマノルの起用法だったとも理解できる。
ただ久保は翌12節セビージャ戦に先発起用されると、先制ゴールでチームを勝利に導いた。右サイドからのカットインが久保の特徴だが、縦への突破からのクロスも見せるようになり、そのことがより一層カットインの切れ味を鋭くした。
なおこの試合でMVPに選ばれた久保は、バレンシア州を中心とした洪水被害についても言及した。
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「バレンシアで苦しんでいる方々のことを思うと心苦しいです。(試合前に両チームにより)黙祷を捧げましたが、やはりこのような試合は難しいです。両チームともに難しい中でのゲームでしたが、できる限りの最善を尽くしました」
このように答え、人間性の成長も垣間見せた。
バルサ相手の「魂を込めた一番の試合」
徐々に調子を上げつつある中で、ソシエダと久保にとってベストゲームとなったのが、第14節バルサ戦だった。ハンジ・フリックを新指揮官に迎えバルサはこの時点で公式戦7連勝。そんな強敵相手に1-0の勝利を手にした。
この試合で久保は、自陣まで戻る守備が免除される分、相手CBへのプレッシングが戦術的役割として与えられた。久保のハイプレスがバルサ守備陣にストレスをかけたことは明らかだった。試合終了のホイッスルが響き渡ったピッチ上で、左拳を強く握り締めそして高々と掲げた14番の姿からは、この勝利の大きさ、充実感を感じさせた。
「今日は魂を込めてプレーしました。そしてソシエダのユニホームで戦った一番の試合だったかもしれません」
こうもコメントしている。
〈クボの交代、早すぎでは?〉との質問も
11月の代表ウィーク明けでも、久保の起用法と出来が結果に直結した。まずは敵地でのバスクダービーことビルバオ戦。長距離移動の影響もあったはずだが、久保は先発出場。ただ守備時のタスクは元通り。さらに久保は後半の早い時間帯に交代となり、攻め手を失って敗戦した。イマノルの采配には地元記者からも〈クボの交代が早すぎるのではないか?〉との質問が飛ぶほどだった。
それでも中3日でのELアヤックス戦、久保は先制点のアシストに、マーカー4人を幻惑するドリブルから左足のコントロールシュートを流しこむ今季EL初ゴールで、2-0の勝利に貢献。続くベティス戦でも勝利を飾る中で、久保はゴール、アシストどころかシュート数も0だったにもかかわらず、攻守にわたる献身ぶりが認められて試合のMVPに選ばれている。終了のホイッスルと共に、久保がピッチに腰を落とし、味方からつった足を伸ばしてもらったシーンが印象に残る。
12月に入ってもチームの勢いはとどまらない。さらにこの頃から久保は、相手の徹底マークにも突破、カットイン、ダイレクトパスと本領を発揮し始めた。