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「なぜクボ使わないの!?」ファンが疑問の起用法でも“移籍の噂”でもなく…久保建英23歳の焦点は「魂を込めた」バルサ戦と“裏腹の課題”

posted2025/01/13 17:21

 
「なぜクボ使わないの!?」ファンが疑問の起用法でも“移籍の噂”でもなく…久保建英23歳の焦点は「魂を込めた」バルサ戦と“裏腹の課題”<Number Web> photograph by Daisuke Nakashima

強豪相手に好プレーを続ける久保建英。起用法や移籍の噂は気になるところだが……。

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中島大介

中島大介Daisuke Nakashima

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Daisuke Nakashima

日本代表MF久保建英(23歳)にとって、レアル・ソシエダで勝負の2025年の幕が開ける。起用法や移籍の噂もかまびすしいが……本人や指揮官の言葉などから前半戦のプレーと印象を、現地で撮影に赴くカメラマンが目にした各シーンとともに振り返る。〈全2回の2回目〉

ゴール→怒りを爆発させるかのようなポーズ

 2024-25シーズン、レアル・ソシエダは8月18日、ラージョ戦での敗戦で開幕を迎えた。

 その中で久保が物議を醸したのは2節の対エスパニョール戦だった。途中出場の久保は強烈なシュートで先制点を突き刺した。

 しかし久保は、喜ぶ仲間をはね除けるようにベンチへ向かうと、両耳に手をかざし「何も聞こえないぞ」と言わんばかりの、怒りを爆発させるかのようなポーズを取った。ベンチスタートが原因の一端と思われるが、理由が明かされることはなかった。

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 とはいえエスパニョール戦からの9日間で3試合をこなす日程の中で、久保は2戦連続で先発出場している。久保の起用は――本人の感情はさておき――ローテーションだったことが窺い知れる。

 第4節ヘタフェ戦は、相手の激しい守備に久保の元までボールが回らず。昨季まで主力だったメリーノとル・ノルマンの移籍離脱を強く感じさせた。チームも90分でシュート1本のみで、久保加入後、チームのワーストと言える内容だった。この試合後、攻守の要スビメンディがインタビュー対応に難色を示すと、久保がその任を買って出た。チームの状態がベストではないことを認めながら「幸い(9月代表ウィークでの)中断期間が来る、この流れを変えたい」と矢面に立った。

 中断明けの相手は、昨季リーガとCLを優勝し、エムバペらが加わったマドリー。両チームのシュート数10を超えるなど互角の内容だったが、2度のVARによるPKでソシエダは敗戦。試合後の久保は、じっとサポーターを見つめ、そして頭を下げ謝意を示した。その振る舞いには、責任を一身に背負うかのような強い気概が滲み出ていた――。

“荷車を引く”にこもった久保の決意

 久保の気概をより強く感じたのが9月17日、アウェイでのマジョルカ戦だった。

 ベンチスタートの久保は、後半頭からのスクランブル出場となった。そこからソシエダの攻撃は活性化したが、得点を奪うまでには至らず連敗。試合後、インタビューに対応した久保は〈Tirar del carro〉という言葉を使った。スペイン語で“荷車を引く”という意味から転じて「チームを引っ張る」や「重責を背負う」の意となる。時に攻撃的にもなる問いかけに対して臆すことなくカメラの前に立ち、このように語った。

【次ページ】 「連戦が止まらない選手もいるので」

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