- #1
- #2
箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
箱根駅伝“山の妖精”は「やっぱり“神”になりたかった」城西大・山本唯翔の5区への思い「(青学大・若林宏樹に)記録が破られて正直悔しい」
posted2025/01/07 17:22
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Hideki Sugiyama
「やっぱり、山の神になりたかったですね」
山本唯翔(城西大―SUBARU)は、少し悔しそうな表情でそう言った。
2024年、第100回大会の箱根駅伝、個人としては「4代目・山の神」に値する区間新記録をマークしたが、「神」と呼ばれるその他の条件が整わなかった。
「5区が一番目立てるな」
ADVERTISEMENT
運がなかったとしか言いようがないが、山本が「神」になるべく費やした時間と労力を思うと、単に運で片づけていいのかと考えてしまう。それほど山本は、山に全てを懸けていた。
なぜ、そこまで5区に魅せられたのだろうか。
「箱根を見たのは小学生の時で、その時に憧れたのが柏原(竜二)さんです。あの走りを見て、箱根駅伝は5区が一番目立てるな、と勝手に思っていて(笑)。僕が5区を目指すキッカケになった人でした」
箱根を走るなら5区しかない
山本は、新潟の十日町市の出身だ。山に囲まれ、坂道が多く、大学や実業団の陸上部がよく合宿で利用しているところでもある。小学校時代は、片道2キロの坂道を歩き、脚が鍛えられた。その後、中高でも山への憧れは消えるどころか、どんどん膨らんでいった。
「中学の時は、箱根を目指せるような選手じゃなかったんですが、それでも上り基調なところでジョグをしたり、山を意識はしていました。高校の時は、上りのコースでタイムトライアルをして1番になったりしていたので、これは5区行けるんじゃないかと思いました。とにかく箱根を走るなら5区しかない。それは、ずっとブレなかったです」
山の神と呼ばれたいな
進学した城西大では、1年目から5区を任され、区間6位(73分03秒)という成績だった。
「その時から『山の神と呼ばれたいなぁ』と思っていたのですが、実際に走らせていただいて、もっと練習をすれば区間賞は獲れるというイメージができました。ただ、上の順位にいる人は上りの練習をしてきているのが見て分かったので、やるべきことはまだあるなと。
同期の鈴木芽吹選手(駒澤大―トヨタ)に5区で負けたのも悔しかったので、もう誰にも負けたくない、5区で絶対に勝ちたいという気持ちがより強くなりました」