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“32歳で月収15万円”契約…元Jリーガーが34歳で引退後「平均年収1000万円超」コンサルに転身するまで「その点においてはアスリートに近い」 

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阿部博一/小野ヒデコ

阿部博一/小野ヒデコHirokazu Abe/Hideko Ono

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posted2025/01/31 11:03

“32歳で月収15万円”契約…元Jリーガーが34歳で引退後「平均年収1000万円超」コンサルに転身するまで「その点においてはアスリートに近い」<Number Web> photograph by Hideko Ono

プロサッカー選手から転身し、現在はコンサルタントとして働いている星野圭佑さん

「Jリーガー時代から思っていたのですが、クラブスタッフの方は好きなスポーツの仕事をしているのに、本当に苦しそうでした。この現状を変えていくにはどうしたらいいのか、なんとかならないのかという思いをずっと抱えていました」

海外経験もあって生きた“英語力”とM&Aコンサル

 そうして、34歳で現役を引退した。星野は、これまでサッカーだけではなく、生計を立てていくために仕事をし、海外経験も豊富なため英語力もある。ボンズ時代には青年会議所にも入会し、サッカー以外の人とのつながりを築いた。

 さらに、受講するのが難関のJリーグヒューマンキャピタル(現・スポーツヒューマンキャピタル)というビジネススクールに通い、スポーツビジネスにまつわる「いろは」を習得した。

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 就職活動で、内定をもらった企業は3社にものぼった。この3社以外にもオファーがあったが、その中で選んだのは現在勤務している「MACアドバイザリー」だ。「どこを選んでも成長できると思えました。決め手となったのは、初回の面接のときから来てほしいと言ってもらえたことでした」と語る。企業の合併・買収(M&A)のコンサルティング会社で、年収は平均1000万円を超える。裏を返せば、それだけ仕事内容が厳しいのだ。

 34歳で、会社勤め未経験ながら、全職種の中でも上位の年収をほこる業界に就職した。ただ手をこまねいているのではなく、地道な行動が形となって現れたのだろう。

「社長が言っていたのは、『この業界で学ぶスキルはどこの業界でも使える』ということでした。実際働いてみて、やればやるだけ結果につながる仕事なので、その点においてはアスリートに近いものを感じています」

サッカーと地元には何らかのかたちで…

 現在、就職して3年目となり、チームをまとめる立場にもなっている。会社から求められている数字を達成すべく、日々奮闘中だ。「元プロサッカー選手です」と積極的にアピールし、初対面の相手に印象を残すことも欠かさない。

 その上で、将来的にはサッカークラブの経営に関わっていくこと、地元の群馬県太田市においてサッカーを盛り上げていくことも視野に入れている。

「まだ具体的な案はないのですが、サッカーと地元には何らかのかたちで貢献していきたいと思っています」

 ◇ ◇ ◇

 星野さんがJリーガーとして過ごした水戸ホーリーホック時代、JFLクラブやヨーロッパ各国を渡り歩き、様々な給与面や直面した“職場環境”のレアな経験については、第1回と第2回で触れています。

〈第1回、第2回からつづく〉

星野圭佑 Keisuke Hoshino 


 1985年、群馬県生まれ。道都大学卒業後、2008年に水戸ホーリーホック(J2)に入団し、プロ選手として活動。2011年にJFLチームの栃木ウーヴァFC(現・栃木シティFC)に移籍し、土木作業員などの仕事をしながらサッカーに従事。2014年にラトビア1部リーグのFK リエパーヤに移籍し、2015年に同国2部リーグのFKアウダでプレーをし、2017 年に関東1部リーグVONDS市原FCに移籍。プロ選手として3年間続け、2019年のシーズン終わりに現役引退。スポーツヒューマンキャピタル(旧・Jリーグヒューマンキャピタル)を受講。医療機器の営業などを経て、2021年に「MACアドバイザリー」に就職し、M&Aコンサルタントとして仕事をしている。

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25歳でJ2戦力外「お前何やってるんだ、と…2年間で築いた信頼を失いました」現“平均年収1000万円超コンサル企業”社会人のプロサッカー人生
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