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地震で生き埋め…亡き父に送り続けたLINE「春高バレー出場、決まったよ」16歳女子バレー部員の“1年後”…創部わずか2年、石川の高校で起きた奇跡ウラ側 

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柳川悠二

柳川悠二Yuji Yanagawa

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posted2025/01/05 11:01

地震で生き埋め…亡き父に送り続けたLINE「春高バレー出場、決まったよ」16歳女子バレー部員の“1年後”…創部わずか2年、石川の高校で起きた奇跡ウラ側<Number Web> photograph by Yuji Yanagawa

日本航空石川高校の女子バレー部所属、日吉彩さん

 12月23日に再会を果たすと、11カ月前とはまるで別人のように明るい彼女がいた。彩さんは言う。

「ちょっと前までは、こうして誰かに震災やパパの話をすると、すぐに泣いていました。だけど、最近は泣かなくなりました。哀しみは消えませんけど、ちょっとだけ人として強くなれたと思います。これからはパパの代わりに私がママや弟を支えていかないと」

 こちらの質問に悩んだり、困ったりする時には感情がそのまま表情に表れていた。あまりに表情が豊かに変化するものだから、変顔も得意では——そう問いかけた。

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「えー、なんで分かるんですか!? へへへ。変顔、得意です。春高のメンバーに入れて、試合に出場できたらレシーバーとして、ピンチサーバーとして、チームの勝利に貢献したい。出場できなくても、私なりにチームを支えていきたいです」

明かした「将来の夢」

 5日に開幕する春高で、日本航空石川は1回戦で津商業(三重)と対戦する。1、2年生だけで臨む日本航空石川は、ベスト4進出が今年の目標だ。彩さんの卒業は来年となるが、高校卒業後は系列の日本航空大学校への進学を考えていて、将来はグランドハンドリング(航空機の誘導など、離発着時における地上作業を担う職業)になりたいという。

「航空機を誘導する人たちって、かっこいいじゃないですか! 自分、勉強が得意ではなくて(笑)。必ずしも英語ができなくても、努力次第ではグランドハンドリングになれるという先輩のアドバイスがあって夢見るようになりました」

 父を失った哀しみが消えることはない。それでもバレーボールに励む日々を送り、春高出場という夢を叶えた彩さんは、未来に希望を抱いている。

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