- #1
- #2
プロ野球PRESSBACK NUMBER
「またやっちゃったか…」楽天初代監督が人事に苦言…今江監督解任で10人中6人が1年間で“クビ”「オーナーは嫌だったのか…僕が1年で解雇になるまで」
text by
沼澤典史Norifumi Numazawa
photograph byJIJI PRESS
posted2024/12/31 17:08
1年限りで解任された楽天・今江敏晃監督(41歳)
「コーチたちも生活がかかってますから、1年でクビになるかもしれない監督の元では疑心暗鬼ですよ。最低3年は安泰だと思えば、自分のことは気にせず、そのぶん選手に向き合える。一方、選手としても1年でいなくなる監督やコーチの言うことは聞きません。1年でいなくなる監督やコーチの話を聞いて、結果を残せなかったら誰が責任を取るんですか。監督人事は本人だけではなく、コーチや選手のモチベーションにも大きく影響するんです」
「あのとき星野さんは何も言わなかった」
一方、複数年続いたのは野村克也氏(4年)、星野仙一氏(4年)、梨田昌孝氏(3年)、石井一久氏(3年)である。田尾氏は、自分が1年で解雇された要因をこう語った。
「僕は間違ってると思ったら、すぐ言ってしまう性格です。楽天の監督時代もオーナーに『球団は自分の持ち物じゃなく、半分はファンのものという気持ちで接してほしい』『疑問や不安があればなんでも直接言ってください』『ひとつの勝ち負けで方針が変わるのでは困ります』など色々言っていました。それがオーナーは嫌だったのか、直接話しかけられることはほとんどなかったです」
ADVERTISEMENT
逆に、田尾氏は意外にもオーナーへ何も言わなかった元監督の姿を見たという。それが燃える男・星野仙一氏である。
「キャンプ中、テレビの仕事で当時の星野監督にインタビューすることがありました。夜に食事会があって、星野監督と僕と三木谷オーナーが一緒になったんです。そこでオーナーが『田尾さん、今年の楽天はどうですか?』と聞いてきた。僕は正直に『先発ピッチャーがひとり足りませんね。オーナーのポケットマネーで外国人ピッチャーでも連れてきたら上で争えますよ。ねえ、星野さん?』と言ったんです。でも、星野さんはオーナーに何も言わない。『そうだね』も一言もない。『仙さん、こういうときは何も言わないんだ』とちょっとびっくりでしたね」
忘れられない“星野さんのひと言”
後年、田尾氏は星野氏と新幹線でバッタリ鉢合わせた。そのときのやりとりも、田尾氏は忘れられないという。