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「悲鳴に近い歓声が…」春高バレーの歴史を変えた“無名の1年生エース”柳田将洋の出現…“天才セッター”関田誠大と悲願の全国制覇 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byKiyoshi Sakamoto/AFLO

posted2025/01/04 17:01

「悲鳴に近い歓声が…」春高バレーの歴史を変えた“無名の1年生エース”柳田将洋の出現…“天才セッター”関田誠大と悲願の全国制覇<Number Web> photograph by Kiyoshi Sakamoto/AFLO

1月開催に移行した初めての春高バレーに臨んだ東洋高のキャプテン、柳田将洋(当時高3)

 迎えた2011年1月。第1シードの東洋は順調に駒を進めると、準決勝で再び鎮西と対戦した。

 1年前と同じように柳田を中心に攻める東洋に対し、ブロックとレシーブで対応してきた鎮西が第1セットを19対25、第2セットは20対25で連取。追い込まれた状況から東洋は関田のトスワークで蘇り、第3セットは東洋が25対19で取り返し、反撃の狼煙を上げる。

 セットカウント1対2、東洋にとっては後がない第4セット、ここで柳田が吠えた。

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 鎮西が3点リードで迎えたセット終盤、鎮西のエース池田のスパイクを東洋がブロック。昨年大会でも対峙した2人のエースが、互いに点を獲り合う白熱した展開。クールな印象が強い柳田も、「試合前から『絶対に負けない』と意識して臨んだので、試合前もあえて隼平をにらみつけていた」と明かした通り、勝負所でのブロックポイントに大きなガッツポーズで喜びを爆発させた。

 しかし、勝利を手にしたのは鎮西だった。

「早く取材を終えたかっただけですよ(笑)」

 23対24――鎮西のマッチポイントで奇しくも柳田にサーブの順番が巡ってきた。ミスしたら試合終了の場面。それでも消極的な素振りは一切見せず、むしろ、ここから逆転するという強い意志を込めた強烈なジャンプサーブは狙い通り、鎮西のレシーブを乱した。だが、ネットに近い位置に返球が戻ったことでセッターから近い位置にいたミドルブロッカーの攻撃を通された。23対25。セットカウント1対3での敗戦。鎮西が“3月のリベンジ”を果たし、東洋の、柳田の春高バレーは終わった。

「今、大丈夫です。話せますよ」

 冒頭の言葉は、そんな激闘を繰り広げた直後だった。

 本人は「早く取材を終えたかっただけですよ」と笑みを浮かべて当時を懐かしむが、後にも先にも、敗れた直後に自ら取材を切り出す選手は見たことがなかった。ましてや連覇が目の前に迫る準決勝で……。

【次ページ】 記者の記憶に残る「あの日の柳田将洋」

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