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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
150キロ超えの直球も「速いなんて思ったことなくて…」ベテラン記者が振り返る“巨人→オリオールズ移籍”菅野智之(35歳)の「最強大学生」時代
posted2024/12/27 12:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
JIJI PRESS
「もうちょっと投げられると思ったんですけど……全部は出しきれなかった。せっかく受けに来てもらったんで、いい球見せたいなっていうのがあったんで。それが、よくない方向にいっちゃったような」
2011年4月、当時東海大4年生・菅野智之投手(巨人→オリオールズ)の全力投球を受けていた。
東海大相模高の頃から全国屈指の右腕として高い評価を受けていたが、進学した東海大の3年間で飛躍的にその素質を伸ばし、大学球界、いや、アマチュア球界トップクラスの実力者と評されるまでに成長していた。
当初は「原監督の甥っ子」が先行していたが…
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高校時代は、巨人・原辰徳監督(当時)の妹さんの息子さんという「血縁」のほうで話題になっていたが、アマチュア球界のエースという評価が定着するうちに、そうしたサイドストーリーは、あまり語られなくなっていた。
「去年からスピードもコンスタントに150(キロ)を超えるぐらいになって、ストレートに自信持てるようになったんですけど、ピンチになると、まだどうしても変化球に頼りがちな自分がいて」
キャッチャーズボックスにしゃがんでミットを構えるこちらを、マウンドから見下ろす時の菅野智之投手は、すごく大きく見えた。
グラブの中にボールをセットして、顔の前で構えた瞬間の「目」が怖かった。
投げてくれ……なんて、頼むんじゃなかった。一瞬、そんな後悔がよぎったが、ここにしゃがんじゃったら、もう後には退けない。
「すんげぇボール投げてくるんだろうな」と思ったら、ほんとに容赦なくすんげぇボールを投げてきた。受けた翌日、手の平よりも左の肩のほうにダメージが残っていた。