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「命を捨ててバレーボールするなんて」栗原恵を襲った“脳血栓”…大病の原因は“ピルの副作用”「何万人かに1人というリスクがたまたま…」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/12/03 11:03
現役時代の闘病期を振り返った栗原恵さん(40歳)。周囲のサポートへの感謝を今も忘れない
実は今も大病との“闘いの痕”は残っている。首の後ろの左側、片方の血管は機能していないところがあるのだと栗原さんは明かす。
「映像で見ると血液が通っていないんですが、それでも他の細かい毛細血管が代用して全く問題ない働きをしてくれている。人間ってすごいですよね。出産を控えているので全てしっかり検査をして、お世話になった主治医の先生とも未だにやり取りをさせてもらっています。発症してからもう7年になりますが、現役の時に繋いだご縁に今も助けられている。本当にありがたいなと感じる毎日です」
鮮烈なデビュー、ストイックに自分と向き合った現役生活、怪我や病気との闘いを経て、栗原さんから出てくる言葉はひたすら「感謝」の思いだ。手にした数々の栄光以上に、大好きなバレーボールで繋がった人との縁がいま、その心を温かく満たしているのだろう。
今秋には写真家でモデルのKoukiさんとの結婚を発表し、同時に新しい命も身籠った。
「結婚してもちろん幸せですけど、結婚したから幸せかというとそうじゃなく、ゴールではないですからね。子どもも生まれてきて、新しい家族の形になっていくのでこれからは責任も増えていくと思います」
そう話す栗原さんは、変わらぬ凛々しさの中にしなやかな美しさをまとっていた。
〈全3回/第1回からつづく〉