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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「エンゼルスと97億円の大型契約」菊池雄星が自ら作った野球施設「King of the Hill」で伝えたいこと「悩んでいる選手に使ってほしい」
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byKYODO
posted2024/12/03 17:46
自身がプロデュースした野球施設「King of the Hill」のオープニングセレモニーで始球式をする菊池雄星投手
プロ野球選手はオフになると沖縄やハワイなど暖かい場所で自主トレを行う。一人で行う選手もいるが、ベテラン選手から学びたい若手選手なども一緒に練習するのが恒例になっている。
「西武時代は沖縄で自主トレをしていましたが、ホテル、食事場所、トレーニング、そして野球場が離れていて、移動が多かったんです。練習場所を他の球団も使用するので、時間で区切ったり、ブルペンは30分毎など制限がありました。若手の時は先輩と一緒に自主トレがしたいので沖縄やハワイに行っていましたが、例えば年俸1000万円で自主トレに100万円くらいかかるのは若手の時はしんどかったですし、僕が年長になってから若手選手が同じように『一緒にやりたい』とついてきてくれた際に、それだけのことを僕が返してあげられているか疑問もありました」
野球だけに集中できて、練習から体のケアまでが一つの場所に集約されている場所があったらいいのに。無いのであれば、いつかそういう施設を作って日本の野球界に還元したいとも思っていた。
「K.O.H.では朝から晩まで野球やトレーニングや食事ができて、お風呂も入れてケアも受けられる。そして動作解析もできるんです」
プレーを解析・データ化して生かせる環境
菊池は胸を張り、こう続ける。
「選手はオフシーズンに答え合わせができる場所が必要だと思うんです。皆、オフにブルペンで投げて調子がいい、ケージで打って調子がいいと言ってキャンプインしますが、紅白戦やオープン戦に入ると感覚の違いが起きることがあります。K.O.H.ではプロ野球選手同士、若手選手同士が思い切り投げて、思いきり打つ対戦をしてほしいと思っています。もちろん寒いと怪我につながることもあるので、K.O.H.は最高30度まで上げられるように温度管理して、ヒットトラックス(Hit Trax)やトラックマン(Trackman)などのメジャーの動作解析などを全部入れて、そのプレーを解析し、データ化して選手たちがプレーに生かせる環境になっています」
プロ野球、そしてメジャーで菊池は時に悩み、苦しみ、考え、状況に応じて様々な専門家からアイデアやサポートを受けて今の地位を確立した。
「プロ野球の特に悩んでいる若手選手に来てほしいんです。彼らがプロ選手相手に投げて打ったりする中で課題を見つけ、2月のキャンプで初日から実戦でアピールできるっていう状態を作りたいなって。それが可能な施設ですし、そうなってほしいと思っています」
もっと野球が上手くなりたい、自分はもっとできるはず。
そんな思いの選手たちと共に球界の「虎の穴」になるのか今後も注視していきたい。
<前編から続く>