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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「エンゼルスと97億円の大型契約」菊池雄星が自ら作った野球施設「King of the Hill」で伝えたいこと「悩んでいる選手に使ってほしい」
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byKYODO
posted2024/12/03 17:46
自身がプロデュースした野球施設「King of the Hill」のオープニングセレモニーで始球式をする菊池雄星投手
「(前所属の)ブルージェイズの春季キャンプ施設は投打のラボを持っていますが、そこで使われている機器も今後入れていく予定です。科学は進歩しているので、分析はもちろんデータの見方も含めて指導を進め、データを理解できる指導者も育てていきたいと思っています」と菊池は話す。
3次元の動きが追跡されるウェイト練習
「King of the Hill (K.O.H.)」のこけら落としの翌朝、菊池はトレーニングウェアに身を包み、ウェイトトレーニングを行っていた。
西武時代から菊池を指導する清水忍トレーナー、メジャーでも菊池をサポートする伊藤健治トレーナーと言葉を交わしながら、130キロのデッドリフトを5回ずつレストを挟んで繰り返す。
この日、菊池は下半身中心のメニューを行なっていた。今季は「力の立ち上がり速度」、つまり動き始めてすぐにマックスの力を出せるかをテーマにしており、『Enode』という機器で速度を計測しながら行なっていた。
清水トレーナー、伊藤トレーナーと短いやりとりをしながら、菊池は目標にする数値に向けた動きをする。
「速く上げろ、速く上げろと闇雲に繰り返した場合と、毎回、数値をフィードバックしてそれを超えろと言った場合では後者の方が人間の体が反応すると研究結果に出ています。意識で目指すものには変化がなく、明確な数値がある方が効果があります」と清水トレーナーは説明する。
今後、K.O.H.のウェイト練習ではAIと小型カメラによって3次元の動きが追跡されるマサチューセッツ工科大学で開発されたPerchという計測機器を導入するが、そのような計測機器を使うことで「その数値が伸びてこない理由や課題を可視化しながらトレーニングが行える点が優れています」と伊藤トレーナーは付け加える。
悩んでいる選手に使ってほしい
「特に悩んでいる選手にぜひ使ってほしい」
施設の構想5年と菊池は話すが、それよりももっと前から、トレーニング施設の在り方について思いを巡らせてきた。