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「僕は一番叶えたいことは誰にも言わない」構想5年…菊池雄星が故郷・花巻に野球施設を建設したワケ「誰かの夢を応援するって楽しいじゃないですか」
posted2024/12/03 17:45
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
KYODO
構想5年…夢を応援する場所
「誰かの夢を応援するのって楽しいじゃないですか」
メジャーリーガー菊池雄星は目を輝かせる。
「夢を応援する」「夢を持つ」
日常的によく目にするフレーズだが、菊池にはそれにまつわる少し悲しい過去がある。
花巻東高校の3年生の時、メジャーリーグへの思いを口にした菊池は激しいバッシングを浴びた。当時は前例がなく、ドラフト1位候補の菊池の発言は大きな波紋を呼び、学校には苦情や批判の電話が鳴り響いた。
(夢を言葉にしただけなのにどうして……)
18歳は傷つき、その棘はずっと心に刺さり続けた。
プロ野球選手になってからもメジャーリーグへの思いを変わらず持ち続けた。
でも周囲には様々な意見を持つ人がいた。
「ドリームキラー(夢を殺す人)っているんです」
何か新しいことに挑戦しようとする人に対して「無理じゃないの」「失敗するからやめたら」と否定的なことを言う人は少なくない。無意識にそういった言葉を発する人、心から心配している人など理由は様々だが、その小さな棘は言われた当事者の胸にチクリと刺さる。
「だから僕は一番叶えたいことは誰にも言わないんです」
「夢」を口にしたことでつらい経験をした。でも、いや、だからこそ誰かが夢を口にした時は全力で応援したい、後押ししたい。
菊池はそう思っている。
「構想5年、着想2年です」
菊池雄星が今回、岩手県花巻市に建設した全天候型複合野球施設「King of the Hill(通称K.O.H.)」は、夢を持つ人を全力で応援するための場所だ。
メジャーリーグを感じられる空間
「King of the Hill」は直訳すると「マウンドの王様」という意味だが、菊池は「この施設から試合を制する者を作りたい」という熱い思いから私財を投じて建設に至った。