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核心にシュートを!BACK NUMBER
「僕の中では“鬼ごっこ”なんです」バスケ富樫勇樹(31歳)が語った言葉の真意は? 世代交代、八村騒動…混沌続く代表チームで第一人者が思うこと
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJIJI PRESS
posted2024/11/28 18:00
モンゴル、グアムとの2連戦を勝利し来夏のアジア杯出場を決めたバスケ日本代表の富樫勇樹。パリ五輪という大舞台を終えて、目指すものは…?
続くグアム戦では、FIBAランキングで59ランクも下の80位にいるチームに怒涛の追い上げを許し、最大19点もリードしていたにもかかわらず、最終の第4Qで一度は同点に追いつかれてしまった。試合後、富樫は悔しさを隠さなかった。
「あの時間帯に出ていた僕には大きな責任があります」
比江島の代表ラストゲームについて言及するときも、ユーモアを交えて話をする普段の富樫はいなかった。
「もしかしたら、彼の最後になる試合なのに……もっと良い形でプレーしたかった」
リーダーとしての自覚ある振る舞いは今回も健在だった。代表キャプテンの大役を任されるようになった東京五輪以降の3年間と大きく変わったようには見えない。では「気楽」にとは、どういう意味なのか。
「代表では試合数も少ないし、ワンプレーごとの重みがすごくあります。ただ、今までは、国を背負う意味や重みを意識すぎていて『ミスしないように……』という意識でプレーしていた部分が少なからずあったのかなと。自分のなかでは良い選択だと思ってやっていたプレーであっても、代表ではオフェンスでもディフェンスでも、積極性が少し欠けていた気がするので」
Bリーグ史に残るような数々のシュートを決めてきた彼だからこそ気づける、感覚の違いがある。
「一つひとつのシュートが大事なのは確かですが、代表だと1本入ったか、外れたかに左右されてしまっている感覚がずっとあって。ジェッツにいるときは、シュートを連続で10本外そうが、次のシュートを打つときには、その試合の1本目を打つのと同じ気持ちでいられるんですけど……。だから、代表では、もう少し『気楽』にやっていきたいという気持ちがあるんです」
ロス五輪まで「どこまで楽しくチャレンジできるか」
そこまで話したうえで出てきたのが、冒頭のキーワードだった。
「この4年間、若い選手に追い抜かれず、どこまで楽しくチャレンジできるのか。4年後に向けた『鬼ごっこ』をしていくつもりでいるので」
そうやって自身の今後についてはユーモアを交えて表現する一方で、これから先に「まだやれるのに」と何回も言われることになるであろう盟友を思いやるあたりが富樫らしい。
「Bリーグでやっていて、『この選手には負けている』と思うようなことはほとんどなくて。比江島も、同じようなことを言っています。ただ、彼は今34歳で、次のオリンピックでは38歳になるので、それを考えると……」