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「私の仕事は走ること。でも…」陸上・田中佑美(25歳)が“モデルハードラー”の肩書に思うこと「違う角度からファンを呼び込むのも大切だと思います」 

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荘司結有

荘司結有Yu Shoji

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photograph by(L)Shiro Miyake、(R)JMPA

posted2024/11/15 11:01

「私の仕事は走ること。でも…」陸上・田中佑美(25歳)が“モデルハードラー”の肩書に思うこと「違う角度からファンを呼び込むのも大切だと思います」<Number Web> photograph by (L)Shiro Miyake、(R)JMPA

五輪では多くのファンの注目を集めた田中佑美(25歳)。春先にはファッション誌のモデルも務めるなど、多様な活躍を見せるが「あくまで陸上が100%」と本人

 田中のように、アスリートがファッション誌や美容雑誌に登場し、ビジュアルで注目されることは、競技に関心のない層を取り込むきっかけになる。一方、あまりにも話題が先行してしまうと、「結果で注目してほしい」と複雑な思いを抱く選手も少なくない。

 田中自身は、ビジュアルという窓からも自身のファンが増えていることを、率直にどう受け止めているのだろうか。

「私はポジティブに受け止めています。スポーツって見られてこそ、応援されてこそ成り立つものだと思っているので。そういう面では、陸上って認知度は高いけれど、人気が高いかと言われたら微妙なところですよね。来年は東京世界陸上で盛り上がるチャンスですが、陸上界だけでワイワイしていてもやはり限度がある。もっと競技を発展させていくためにも、違う角度からファンを呼び込むのは大切だと思うんです」

 例えば、近年盛り上がりを見せる男子バレーも、その実力はもちろんのこと、ビジュアルを含めたタレント性が高い選手が多い。写真集やコラボグッズは飛ぶように売れ、会場では“推し”のうちわも目立つという。

 世間に競技を認知してもらうだけでなく、実際に試合会場に足を運んでもらうためには、多方面からのアプローチが効果的なのだろう。

「ビジュアルであろうと、自分の色んな面を介して競技を見てもらえるのはうれしいですよね。もっと言うなら競技成績だけでなく、競技との向き合い方とか、私の内面にまで興味を持ってもらえたらすごく幸せなことだなと思っています」

「ボケたらツッコんでほしい」…親しみやすいアスリートに

 確かに、人がアスリートを応援する理由は、記録や順位といった「数字」だけでない。

 その選手の人柄や競技観など「背景」を知ることで、よりアスリート像がくっきりとし、親しみを持てるのではないだろうか。

 ちなみに田中はどんなアスリート像でありたいのか。聞いてみると、お茶目な彼女らしい答えが返ってきた。

「アスリートとして神格化されるのは嫌なんです。関西人なのでボケたらツッコんでほしいし、ちょっと馬鹿にされるくらいが心地いい(笑)。尊敬されないというか……親しみやすいアスリートでありたいですね」

 関西人らしいひょうきんな一面を見せつつも、競技を取り巻く環境や、自身の現状については冷静な視点を併せ持つ田中。後編では、パリ五輪で感じたマインドの変化や課題を聞いた。<次回へつづく>
#3に続く
「世界記録保持者もこんなに苦労するんだ…」女子ハードル田中佑美(25歳)がパリで感じた“世界との距離”「決勝はもう一段階、上の実力がないと」

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