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「私の仕事は走ること。でも…」陸上・田中佑美(25歳)が“モデルハードラー”の肩書に思うこと「違う角度からファンを呼び込むのも大切だと思います」
posted2024/11/15 11:01
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph by
(L)Shiro Miyake、(R)JMPA
スタッド・ド・フランスのスタートラインに立った田中は、自身の名前をコールされると、少し首を傾けてニコッと微笑んだ。その何気ない仕草は、SNSでたちまち話題の的となった。
<無邪気な笑顔が素敵!>
<この子の愛嬌おそろしい>
<世界に見つかってしまった>――。
田中が出場した組の選手紹介だけを切り抜いた動画は10万回再生超え。彼女の凛とした佇まいや丁寧な受け答えも、多くの視聴者の心をとらえたようだ。SNSでは、田中のインタビュー動画が拡散され、そうした反応をベースに彼女のビジュアル面をトピックにした記事も多く配信された。
本人は「特に見られる意識はしていなくて、普通に喋っていただけなのですが……」と苦笑いするが、その反響の大きさを肌で感じたという。
「オリンピックが終わってからSNSのフォロワーがぐーんと6万人くらい増えたんです。自分の記事を目にする機会も多くなって、久しぶりに会う友人には『よっ、有名人!』ってからかわれました(笑)」
ファッション誌でのモデル挑戦も話題に
五輪前からブレイクの波は来ていた。今年のシーズンイン前、男性ファッション誌『Safari』、女性ファッション誌『BAILA』の企画でモデルに挑戦。172cmのすらりとした長身を生かし、モードな雰囲気をまとった彼女の写真は、陸上ファンの間で話題を集めていた。
田中にモデル挑戦の話を振ると、引き受けた意外な理由を教えてくれた。
「去年、ブダペストの代表に選ばれてから注目度が上がったようで、パリにむけた取材依頼が増えていたんです。でも『日本選手権にむけての意気込みは?』『どう勝ち抜くつもりですか?』という質問ばかり受けるのが、ちょっとしんどくなっていて……」