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「40人中39位」でパリ五輪に滑り込み…女子ハードル田中佑美(25歳)が振り返る“大舞台までの苦悩”「ギリギリの出場…怖気づく場面もありました」
posted2024/11/15 11:00
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph by
AFLO
6月30日、新潟で行われた日本選手権。女子100mハードル決勝は、日本記録保持者の福部真子(日本建設工業)が制して代表内定を決めた。
福部が喜びをあらわにする傍ら、2位の田中は報道陣の前で涙をこぼしながらこう語った。
「私はまだ25歳で、これからも競技を続けますし、オリンピックもまた来ます。オリンピックが陸上のすべてではないですけれど……もっともっと速くなれるように頑張ります」
それは、パリ行きを断念したかのようにも取れる言葉だった。
日本選手権直前に起こった「誤算」
田中は当時の心境を明かす。
「パリの参加標準記録(12秒77)を目指すのはもちろんのこと、ポイントを稼ぐために海外遠征に積極的に取り組んでいたシーズンだったので。自分の計算では『まあ行けるんじゃないか』という位置にいたんです。でも、日本選手権直前に大きなポイント変動があって……。精一杯のレースをしたのに届かなかったという感触だったので、悔しい気持ちでいっぱいでした」
田中の言う“ポイント”とは、ワールドランキングのパフォーマンススコアを意味する。
世界陸連は2019年から「ワールドランキング」――有効期限内に世界各地で行われる各大会のグレードや、順位などをポイント換算して算出するランキング上位(五輪出場枠=ターゲットナンバー)に入れば、出場資格を得られるという仕組みを導入した。つまり、参加標準記録を突破できなくとも、複数の大会でコンスタントに記録や結果を残せば、五輪への道が開けるというものだ。
ワールドランキングは各大会で獲得したポイント=パフォーマンススコアの平均値で順位付けされる。パフォーマンススコアは、風の影響などを考慮した「記録スコア」と「順位スコア」を合わせたもの。順位スコアは大会のカテゴリーによって異なり、同じ順位ならばグレードの高い大会のほうが高いスコアが得られるようになっている。