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「ショウヘイは簡潔な返答が多いからさ…」ドジャース番記者は大谷翔平をどう“攻略”した?「巨大な存在になったけど、普通の人間なんだ」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2024/11/09 11:00
大谷翔平を近くで見続けてきたドジャースの番記者が、激動の1年間を振り返った
――水原一平事件の前後で大谷は変わったと感じるか
JH 私たちとショウヘイのやりとりは限られているから、それを指摘するのは難しい。だからあくまでチーム関係者に聞いたことだが、「イッペイがいる間はショウヘイと直接接するのは難しかった」という話は聞こえてきている。それが不在になり、個人的な話をするのが少し容易になった。イッペイが去った後、ショウヘイはチームメイトたちにそれまでより頻繁にテキストメッセージを送るようになった。コーチとも1対1で話すようになり、それは打撃だけではなく、クレイトン・マッカラーコーチといい関係を築けたことは走塁面で大きかったのだろう。それらはイッペイがいたとしてもいずれ起こっていたことだったのかもしれない。ただ、早い段階であんなことが起こったおかげで、ショウヘイは自ら関係を構築しなければいけない状況に置かれた。それは最終的にドジャースにとっていい方向に運んだのだと思う。
FA 先ほども言った通り、チームメイトとの間に結びつきが生まれ、精神的な成長、成熟が感じられたように思う。そのために理想的な状況だったとは思わない。だから「あの事件が起こったおかげだ」といった言い方はしたくはないが、結果的には良い方向に運んだ部分もあったはずだ。
「投手・大谷」への期待
――ドジャース1年目で世界一という最大の目標を達成し、来季への期待は
JH どんなピッチングをするかが最大の興味の対象になる。右肘に2度目の手術を受け、これまで通りの投球ができるのかどうか。それをやり遂げながら、打撃面の生産性を保てるのかどうか。今季にウォーカー・ビューラーが示した通り、複数の手術を経験した投手がパフォーマンスを保つのは容易なことではない。それは極めて難しいことに思えるが、できる選手がいるとすれば、尋常ではない才能を持つショウヘイなのかもしれない。二刀流で支配力を保てるかどうかが次のチャレンジ。ショウヘイ個人の挑戦というだけではなく、今後数年のドジャース投手陣を考えてもその貢献度は重要だけに、注目度の高さは変わらずに続いていくだろう。
FA ドジャースの1年目で、結果的にショウヘイは投球以外のほとんどのことを成し遂げてしまった。だとすれば、当然のように、来季はマウンドで再びどんなピッチングをするのかが最大の焦点になる。2度目のトミー・ジョン手術を受けたあとの復帰1年目なのだから、試練は訪れるだろう。アジャストメントの期間は必要になってくるはずだ。もちろんもうショウヘイが何をやり遂げても誰も驚かないが、これほど難しいことを、しかも打撃と両立しながらやり、どんな成果を出すのかに興味は惹かれる。これまでになかった挑戦の機会が訪れ、周囲の話題性も継続するに違いない。