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「うん、この感じだな…」アクシデントで緊急登板も「スッと試合に入っていけた」DeNA7年ぶりの日本シリーズ進出には山崎康晃の経験が必要だ 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph bySANKEI SHIMBUN

posted2024/10/15 17:17

「うん、この感じだな…」アクシデントで緊急登板も「スッと試合に入っていけた」DeNA7年ぶりの日本シリーズ進出には山崎康晃の経験が必要だ<Number Web> photograph by SANKEI SHIMBUN

CSファーストシテージで好リリーフをみせたDeNAの山崎康晃(32歳)。7年前の日本シリーズや侍ジャパンでプレーしたベテランの経験が必要になる

 必勝を託したエース・東克樹投手を立てた第1戦。その東をアクシデントが襲ったのは4回の打席だった。三塁線を破る安打を放った走塁で左太ももの裏を痛めた。ベンチで治療を受けてグラウンドに戻り、4回のマウンドにも立った。しかし状態は回復せずに、5回からベンチは急遽、継投策に切り替えざるを得なくなったのである。

「東に異変が分かった瞬間に、2人に準備をしてもらいました」

 こう語るのはブルペンを預かる小杉陽太投手コーチだ。

 動いたのは山崎康晃投手と濵口遥大投手のベテラン2人だった。その中からベンチが指名したのが、かつては守護神として活躍し、今季は序盤から中継ぎに回っている山崎だったのである。

「やっぱり(ポストシーズンの)こういう試合は、普段とは全くムードが違うし、そのなかでどう普段通りの気持ちでマウンドに上がれるか。そこが大事なことだと思います」

 プロ入りからクローザーとして活躍し、17年にベイスターズがCSを突破、日本シリーズまで駒を進めた時にはセーブもマークしている。2015年と19年の2度のWBSCプレミア12、21年の東京五輪でも日の丸を背負ってマウンドに上がった経験もある。

「自分はこれまで場数も踏ませてもらって、色々な経験をさせていただいていますし、ああいうプレッシャーのかかる、敵地の凄い応援の中でマウンドに上がるというのは、登板前からそういう球場の雰囲気を感じるのが大切だと思っている」

 山崎はその経験を踏まえた上で、Aクラス入りをかけた熾烈な戦いが続いた今季終盤に、ある提案をリリーフ陣にしていた。

「ブルペン入りのときロッカーから直接、ブルペンに行かずに、必ずベンチに1回入って、球場の雰囲気、空気を自分の肌で感じてから行くようにしよう」

甲子園球場の雰囲気

 実はこれは小池正晃コーチの提案を筒香嘉智外野手と山崎の3人で話し合って、最終的に山﨑が若手の多いリリーフ投手たちに伝えたものだった。

【次ページ】 甲子園球場の雰囲気

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