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「中谷潤人vs井上尚弥+拓真」“まるでハリウッド映画”なライバル関係が米国でも話題に…日本ボクシング新章突入「だからこそ、圧倒的なKOを」
 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byNaoki Fukuda

posted2024/10/13 11:00

「中谷潤人vs井上尚弥+拓真」“まるでハリウッド映画”なライバル関係が米国でも話題に…日本ボクシング新章突入「だからこそ、圧倒的なKOを」<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

7月のビンセント・アストロラビオ戦では見事なKO勝利を飾った中谷潤人(26歳)

 このように「さらに騒がしくなる寸前」にいながら、上記通り、中谷のいい意味での変化のなさは頼もしい。スター気取りはまったくなく、頭にあるのはさらに優れたボクサーになることだけ。そんな姿勢は、ロサンゼルスを拠点に中谷を鍛え続けているルディ・エルナンデス・トレーナーが感じていることでもある。

「もちろん今のジュントが4、5年前と同じ人間だとは思わない。そうだとしたら、成長していないことになってしまう。最近の彼は日本でより人気になり、その知名度は世界的に広まっているのだろう。ただ、ジュントに関して決して変わらないものがあるとすれば、それは常に何かを学びたいという強い気持ちだ。そんな姿勢は指導する側の私にとっても助けになる。その部分が変わらない限り、可能性は無限大だよ」

 実際に26歳になった今でも、ボクサーとしての向上意欲以外、中谷には何の雑念も感じられない。「前を見て、進化すること、強くなることに集中できているという感覚はあります」と公言するほどの純粋さゆえ、“The sky’s the limit(無限大)”。

 そして、おそらくはこれから先の1年間で、無限大のポテンシャルを持つ中でも現時点での立ち位置が世に示されることになるのだろう。ペッチに勝ったとしても、井上尚弥が指摘していた“拓真の壁”には苦しむのか。それとも実力者である井上拓真をも粉砕し、世界最高のボクサーとの巨大な対決に駒を進めることになるのか……。

「僕のボクシングで、何かを感じてもらえれば」

「強くなりたいです。強さを評価してもらえる基準として、パウンド・フォー・パウンド・ランキングがありますね。そこで評価されるために、統一戦だったり、複数階級制覇だったりは必要になってくると思っています。そういった大きな試合をしておけば、自ずとファンの方にも注目してもらえる。僕のボクシングを見てもらって、何か感じてもらえればとも思うので、そういう気持ちで頑張っています」

 3階級を制覇しても、依然としてこういったピュアな言葉を残すサウスポーの行く手に、キャリアを彩る大勝負が見えてきている。その道が最終的にどこに行き着くかはわからないが、はっきりしているのは、ひたむきに強さを探求する中谷の姿勢は決して変わらないであろうこと。

 ボクシングファンには絶対に見逃せない2〜3試合のカウントダウンが、まもなく始まろうとしている。

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