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「マサは前GMが獲得した選手だから…」吉田正尚トレード再燃の真相は? 過渡期レッドソックスに“31歳の打撃職人”の居場所はあるか
posted2024/10/08 06:00
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Getty Images
まるで、それまで堰き止められていたものを吐き出すかのようだった。
ボストン・レッドソックスの吉田正尚(31歳)は普段は口数の多いタイプではないながら、ほぼすべての試合後にプロらしく簡潔にその日のプレーを振り返ってくれる。それが9月29日、ボストンでのシーズン最終戦前に行った今季総括のメディア対応では様相が違った。
その会見では一つ一つの返答が長く、非常に詳細で、時に熱い言葉が迸り出てきた。
「今年は自分がオフシーズンから期待していたような終わり方では正直ないというのはあります。全体的な数字の面に関して、試合数を始め、去年より下回っています。そういうところではやっぱり物足りなさといいますか、そういうのを感じながら今日を迎えました」
離脱の原因にもなった肩の故障
2024年の最終成績は108試合で打率.280、10本塁打、56打点、OPS.764。昨季の打率.289、15本塁打、72打点、OPS.783という数字を軒並み下回っている。しかも外野守備についたのは1戦、1イニングのみ。シーズン最後の会見で明かされたのは、2024年は春先の離脱の原因となった左手だけではなく、また別箇所の故障にも苦しみ続けていたという事実だった。
「肩(の状態)がよくなかった。キャンプからずっとトレーナーさんも含め地道にやって、いろんな手は打った。注射も含め、最善は尽くしたんですけど、メジャーリーグの上のレベルでのスローイングのプレーは厳しいという判断でした」
アレックス・コーラ監督は「今季のマサはいずれにしてもほとんどDHの予定だった」とは述べたが、肩さえ万全ならばこれほどDH一辺倒ではなかった可能性もある。
吉田は「オフスピード(変化球)のスイングには多少なりとも影響はありました」とも語り、打撃面でも適応が必要だったことを認めている。それほど重要な故障との戦いをシーズン中は決して明かさず、ひたすら我慢して走り切った。約20分にわたって現状を激白した今季最後の会見での吉田の表情は、悔しさ、安堵、ある意味での達成感などが混じり合ったものにも見えた。