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「先に言っときますよ」朝倉海の予言…秋元強真のRIZINデビュー戦“1ラウンドKO”はなぜ生まれた? 朝倉兄弟から受け継いだ「ドラマ性」
posted2024/10/02 18:12
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
RIZIN FF Susumu Nagao
「ガチでヤバいヤツきた」
ジムで練習する秋元強真の姿を見て、朝倉海はそう思ったそうだ。そして秋元のRIZIN初参戦に向けてこう“予言”している。
「先に言っときますよ。これからのRIZIN、彼が引っ張ります」
まさに“鳴り物入り”でのRIZINデビューとなった秋元は2006年生まれの18歳。MMAを志したのは2019年のことだという。この年の大晦日、RIZINで闘う朝倉未来と海の兄弟を見た。それ以来、2人は秋元の憧れだ。2019年の大晦日なんて「ついこの間」という気もするが、少年は瞬く間にファイターへと成長したのだった。
高校には行かず格闘技に打ち込んでアマチュア6戦全勝、プロでも5試合すべてに勝利してRIZINへの切符を手にした。現在は朝倉兄弟が率いるJAPAN TOP TEAMに所属。海に「ヤバいヤツ」の印象を残すと、朝倉未来推薦選手として臨んだアラン“ヒロ”ヤマニハにはKO勝利。所英男に勝ち朝倉海戦でも判定まで粘った柔術黒帯を倒し、期待感はいよいよ高まった。
金太郎戦で見せた「バケモノぶり」
RIZIN参戦に当たっては、RISE王者で朝倉未来をキックルールでKOしたYA-MANをスパーリングで苦しめる光景も話題に。
いったいどれだけ強いのか。RIZINはこの新鋭に金太郎をぶつける。朝倉兄弟と同じ『THE OUTSIDER』からの叩き上げ。黒星も多いもののRIZINの常連で、パンクラスでヤマニハに勝ってもいる。秋元にとっては、実力を厳しく査定される相手だったと言っていい。
しかし、結果は1ラウンドKO。未来同様のサウスポースタイルから海のような鋭いストレートを打ち込み、倒れた金太郎にパウンド、そしてヒザを4連発。RIZINのCEOである榊原信行は、新星登場のインパクトを「前評判通りのバケモノぶり」と評した。