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平本蓮“ドーピング疑惑”見過ごされた本当の問題点…WADA規程は「禁止薬物を入手した時点でアウト」専門家も警鐘「教育せずに検査、意味がない」

posted2024/09/13 17:01

 
平本蓮“ドーピング疑惑”見過ごされた本当の問題点…WADA規程は「禁止薬物を入手した時点でアウト」専門家も警鐘「教育せずに検査、意味がない」<Number Web> photograph by Koji Fuse

9月2日に記者会見を行い、“ドーピング疑惑”を否定した平本蓮。その後のRIZINの会見で検査結果が「陰性」だったことが発表された

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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Koji Fuse

 格闘技界を揺るがした平本蓮の“ドーピング疑惑”。RIZINによる検査の結果は「陰性」だったものの、あらゆる疑念が払拭されたとは言いがたい状況だ。取材を通じて見えてきた“問題の本質”を検証する。(全2回の2回目/前編へ)

WADA規程では「禁止物質を入手した時点でアウト」

 ご存じだろうか。日本アンチ・ドーピング機構(JADA)のホームページで確認できる「世界アンチ・ドーピング規程」では、規則違反として以下の11項目が定義されている。

◆◆◆

1. 採取した尿や血液に禁止物質が存在すること
2. 禁止物質・禁止方法の使用または使用を企てること
3. ドーピング検査を拒否または避けること
4. 居場所情報関連の義務を果たさないこと
5. ドーピング・コントロールを妨害または妨害しようとすること(文章の偽造、虚偽の証言の提供も含む)
6. 正当な理由なく禁止物質・禁止方法を持っていること
7. 禁止物質・禁止方法を不正に取引し、入手しようとすること
8. アスリートに対して禁止物質・禁止方法を使用または使用を企てること
9. アンチ・ドーピング規則違反を手伝い、促し、共謀し、関与する、または関与を企てること
10. アンチ・ドーピング規則違反に関与していた人とスポーツの場で関係を持つこと
11. ドーピングに関する通報者を阻止したり、通報に対して報復すること

◆◆◆

 今回、RIZINによる検査で平本蓮のドーピング疑惑は“シロ”だった。世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の基準を満たした機関による検査をクリアしたのだからその事実は動かない。

 しかし、上記の禁止項目と照らし合わせると、2、6、7、8、9、10の6項目に関しては抵触している可能性が高いのではないか。さらに、同規程には以下のようなルールもある。

「また、この違反はアスリートだけが対象になるのではなく、違反の種類によっては、サポートスタッフ(指導者、コーチ、チームドクターなど)もその対象となります」

【次ページ】 日本格闘技界に蔓延する「ドーピングへの認識の甘さ」

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