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「若い選手は嫌いですか」エディー・ジョーンズが覚悟して挑む”難しい手術”…ラグビー日本代表“夏の総決算”で完敗「100回でも何回でも謝る」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/10/01 17:12
フルバックで起用した李承信(15番)に言葉を送るエディー・ジョーンズHC
ひるがえって、今はどうなのか? 6月22日に行われたイングランド戦の総キャップ数を比較すると……。
イングランド 753
日本 259
※うちリーチマイケルが84キャップで、ひとりでおよそ3分の1を占める。初キャップは8名。
列強の数字を見ると、さらに愕然とする。南半球4カ国による「ラグビー・チャンピオンシップ」の第4節で戦った各国の総キャップ数は……。
南アフリカ 1135
ニュージーランド 1105
アルゼンチン 887
オーストラリア 603
けた違いなのである。
「背骨」となる選手の経験値
日本代表は6月から9月にかけて7試合を戦ったが、ヘッドコーチはスライドで数字を示し、次のように説明した。
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中軸プレーヤーを欠く
2 原田衛 <10キャップ
8 マキシ <10キャップ
10 李承信 <20キャップ 所属クラブでは10以外でプレー
15 矢崎由高 <10キャップ ハイパフォーマンス環境にない
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2、8、9、10、15といったポジションは、ジョーンズHCが常に「背骨」と呼ぶ重要な位置である。その中心線の選手たちの経験が浅い。12月に開幕するリーグワンで、李が所属するスティーラーズでは何番でプレーするのだろうか。そして矢崎は9月から早稲田大学に戻っているが、ヘッドコーチの視点から育成面を考えると、大学に戻るのはハンディキャップになり得るという見方を示したということだろう。
この数字を見せられると、この秋も厳しい戦いを強いられるのは間違いなさそうだ。
私はジョーンズHCが就任した時、「魔法」を期待したが、それは排除した方が良いと現実を認識した。