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「若い選手は嫌いですか」エディー・ジョーンズが覚悟して挑む”難しい手術”…ラグビー日本代表“夏の総決算”で完敗「100回でも何回でも謝る」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/10/01 17:12
フルバックで起用した李承信(15番)に言葉を送るエディー・ジョーンズHC
これだけメンバーが入れ替わった以上、強化には時間がかかる。「難しい手術」に挑んでいると考えなければならない。
では、いつになったら列強にキャッチアップできるのか? 秋にはニュージーランド、フランス、ウルグアイ(この相手にはマストウィンだ)、イングランドと4戦を戦うが、23人の選手全員が登場したとしても、キャップ数は92しか増えない。遅々たる歩みにならざるを得ない。
なんとか順調に強化が進んだとして、2025年末に400台、W杯オーストラリア大会の前年となる2026年秋の段階で、ようやく2015年と同等の数字に到達する――という見込みになる。この数字も、あくまで順調に進んだとして、という条件付きだ。
次のW杯が近づいてくれば、成果を求める声も高くなってくることだろう。ただし、現時点では「結果ベースでの判断は本意ではない」とフィジー戦のあとの記者会見でジョーンズHCは答えた。
「どうしても結果ベースでのご質問、答えになってしまうと思います。それは私としては望んでいることではありません。プレイヤーのエフォートをベースに答えるとしたら、私としては思っていたよりも先に進んでいると感じています」
ジョーンズHCにとっても我慢の時期である。メディアにとっても、ヘッドコーチ自身も来年には一定の成果が欲しいところだが……。
矢崎に続く大学生デビューまた実現?
ヘッドコーチのハードワークは続いているようだ。フィットネスの維持を欠かさない一方、ある日本代表のOBはこう話した。
「どうやら、寝る間を惜しんで大学の試合も映像で見ているらしいですよ」
早稲田の矢崎のプレーをチェックしているのは間違いない。ひょっとしたら、早稲田の新10番、驚異的なキック力を持つ服部亮太のこともレーダーに捉えているかもしれない――。
我慢の時期だが、楽しみもある。
次の試合は、10月26日。
黒衣軍、オールブラックスが横浜にやってくる。