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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「もっと極めたい」セッター関田誠大(30歳)はまだまだ燃え尽きていなかった…パリ五輪が新たな出発地点に「ジェイテクトで日本一に」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2024/09/30 11:08
感情をむき出しにして戦ったパリ五輪。セッター関田誠大(30歳)はさらなる成長を誓った
他の選手とも今後の話をすることはあったという。
「年齢の近い選手とか、いつもいるミドルブロッカーの3人とは、そういう話はチラッとはしました。『どうすんの?』『どう考えてる?』と軽く。僕はその時の気分で話したりするので、『もうやらないよ』だの、『やる』『やるかも』だの、テキトーなこと言ってるんで当てにはならないです(笑)。
まあ行ったり来たりという感じです。そういう(代表を続けようという)波がきたり、『いやーちょっときついな』と思ったりを繰り返しているところですね。ハッキリ説明できたらいいんですけど。その時のコンディションや、怪我の状態とかにもよるし。また監督も新しくなるので、話もしたいですし、まだわからないですね」
リベロの山本智大(大阪ブルテオン)が、関田を(代表から離れたとしても)呼び戻したいと話していたことを伝えると、笑いながら言った。
「でもセッターはいますよ。日本にはいいセッターがいるので、大丈夫だと思います。みんな上手いと思いますよ」
パリは燃え尽きる場でなく、次へのエネルギーに
一方で国際大会ならではの難しさがあることも認める。
「国内と国外はまた違いますね。相手が違うし、相手のデカさも違うし、責任というか、背負っているものも違うというか……やっぱり全然違うかなと思います」
日の丸を背負う重圧、苦しさ。ただ、パリ五輪はそれだけではなかった。
「オリンピックは、難しい。でもその分、経験できるものが大きく、得られるものもたくさんあったのかなと思いますね。結構楽しかった場面もあるので。やっぱり勝った時じゃないですか。アルゼンチン戦しか勝てなかったけど。勝つことが一つの喜びで、そこを目的としてやっているので。
普段のネーションズリーグとか国内リーグとは、見ている人の多さも全然違うので、そこも楽しいというか、興奮に近いかな。今回はバレーボールがめちゃくちゃ注目されていて、会場でもテレビでもすごく応援してくれて」
難しさも楽しさも噛み締めたパリ五輪は、燃え尽きる場ではなく、次へのエネルギーを与えてくれた舞台だった。
「ああいう大一番で勝つことの難しさをより学んで、そのおかげで僕はまた、上手くなりたいと思った。なかなかないんですよ、僕の中で、そういうふうに思わせてくれる大会って。
やりきったとか、あ、終わったなって、(終了後に)ちょっと“ふっ”となる大会が多いんですけど、今回に限っては、『もっと極めたい』『向上させたい』という気持ちがより強くなった大会だった。それを得られたのは大きいなと思います」
なんだかもう代表続行の意思のように聞こえるのだが……。
「僕がめちゃくちゃ上手くなって、衰え知らずでまだまだ動ける感じだったら、あるかもしれないですね。絶対あるとは言い切れないですけど」
そう言って、フフフと不敵な笑みを浮かべた。
今は、視線を“日本一”へと切り替えている。