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大谷翔平「50-50」間近の中で称えたい大記録「35-35を2回」秋山幸二、張本勲は通算「504-319」だが…今季NPB「10-10」は2人だけ、誰? 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byNanae Suzuki/Makoto Kenmizaki

posted2024/09/18 17:01

大谷翔平「50-50」間近の中で称えたい大記録「35-35を2回」秋山幸二、張本勲は通算「504-319」だが…今季NPB「10-10」は2人だけ、誰?<Number Web> photograph by Nanae Suzuki/Makoto Kenmizaki

大谷翔平の「50-50」挑戦の今こそ、スピードとパワーを兼備して「35-35」を二度クリアした秋山幸二の偉大さを称えたい

 1979年、バリー・ボンズがウィリー・メイズに続いて史上二人目の「300-300」を達成した時に「記録の神様」を呼ばれた故・千葉功さん(元パ・リーグ記録部長)が、名物コラム「記録の手帳」でこれを紹介したからだ。

 このとき、千葉さんは「日本でもただ一人達成者がいる」とある選手を紹介していた。

「300-300」を達成した張本と秋山の偉大さ

 現時点でのNPBの「200-200」以上を達成した選手。

〈300-300〉
 張本勲 504本319盗
 秋山幸二 437本303盗

〈200-200〉
 衣笠祥雄 504本266盗
 山本浩二 536本231盗
 有藤道世 348本282盗
 高木守道 236本369盗
 緒方孝市 241本268盗
 真弓明信 292本200盗
 石毛宏典 236本243盗
 豊田泰光 263本215盗
 小鶴誠 230本241盗
 白仁天 209本212盗

 千葉功さんが「日本でただ一人」と言っていたのは張本勲だ。NPB史上最多の3085安打を記録した大打者だが、本塁打は衣笠祥雄と並ぶ7位タイ、盗塁も史上27位。盗塁王はとっていないが、屈指の俊足だった。そしてベテランになれば走るのを自重する選手が多い中、34歳の1974年も14盗塁していた。

 これに続いて1987年に「40-40」に肉薄した秋山幸二が「300-300」をクリアしている。「200-200」は現役ではヤクルトの山田哲人が296本195盗と、あと5盗塁につけているが、今季の盗塁は1つだけ。打撃もこのところ不振が続いている。

 また巨人の丸佳浩は282本181盗、「トリプルスリー」のソフトバンク柳田悠岐は264本162盗となっている。ベテランになるとあまり走らないNPBだが、奮起してほしいところだ。

大谷はスゴいがNPBに目を向けると「10-10」すら…

 大谷翔平の活躍で、今後はNPBでも「30-30」「40-40」が大いに注目されるだろうが、残念なことに今季はそれどころではない。

 日本人選手で言えば、両リーグで唯一30本塁打台に乗せているソフトバンクの山川穂高は0盗塁。27本のヤクルト村上宗隆は8盗、24本塁打の巨人・岡本和真も0である。「20-20」どころか「10-10」でさえもDeNAの牧秀悟(21本10盗塁)、ソフトバンクの近藤健介(19本11盗)、2人だけというお寒い状況だ。「投高打低」は深刻だが打者には奮起を促したい。

 大谷は17日のマーリンズ戦で48号本塁打を放った。

 史上初の「50-50」を達成できるかどうかは、際どいところではあるが――もし達成したとしても「50-50クラブ」のメンバーは、なかなか増えないだろう。それくらいすごい記録に挑んでいるということだ。

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