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「なんか祐希の様子おかしくない?」リベロ山本智大が察した石川祐希の異変…勝利目前だったイタリア戦の分岐点「もし戻れるなら…あそこですね」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byReuters/AFLO
posted2024/09/12 11:02
日本代表の生命線である「守備」で貢献したリベロ山本智大(右)。メダルに届かなかったパリ五輪で悔やむ、あるシーンとは?
予選ラウンドは1勝2敗と苦しんだが、それさえも快挙への布石だったのではと思えるほど、準々決勝は様々な面で“ハマった”。
一つは組み合わせ。予選ラウンドを8位で通過した日本は、1位通過のイタリアと対戦することになったが、山本は“ラッキー”と捉えていた。
「イタリアは相性いいんですよ、本当に。周りは『1位で通過しているから(強い)』と言っていましたけど、僕は個人的にイタリアが一番やりやすいと思っていました」
近年の対戦成績は五分で、昨年のネーションズリーグ3位決定戦では日本が勝利し銅メダルを獲得していた。
「アメリカとポーランドはちょっと嫌だなと思っていて、それ以外ならどこでもよかったんですけど、できればイタリアかフランスがいいなと。それかドイツですね。(5連勝中の)スロベニアだったら最高ですけど」
予選ラウンド初戦で敗れていたドイツがよかったというのは意外だった。
「ドイツは強いんですけど、もう一回やったら勝てると思いました。感覚的に。初戦はこっちの調子が悪かったので、普通にやればいけるなと。フランス(がいいと思ったの)は、日本とタイプが似ているというか、同じようなバレーをするので。今年のネーションズリーグでも予選ラウンドでは勝ちましたし。ファイナルでは負けましたけどあと一歩のところだったので、いけるんじゃないかなと」
結果的に、イタリアと当たることに。
「『来たー!』と思ったっすね。そしたら負けました」と自嘲気味に苦笑した。
面白いように上がったディグ
もともとイタリアと相性がいいのには理由があった。
「イタリアはキレイなバレーをしてくるので。高さはあるけど、トスはそれほど速くないし。うまい選手が多いので、ちゃんとセオリー通りに、(ディグが構えているところに)バシッとブロックを抜いて打ってくるというイメージです」
だから日本のブロックディフェンスがハマりやすい。対戦経験が多くデータが豊富なこともあり、準々決勝では山本のディグが面白いように上がった。
「オポジットの選手は結構ストレートに打ってくるから、そこにしっかり入って。あとはやっぱり関田(誠大)さんのブロックの前から打ってくるので、その後ろをカバーするために、僕がいつもの5番(バックレフト)ではなく6番(バックセンター)に入るなど、いろいろ変えてそれが結構ハマりました。
あの試合は、完璧でしたね。今シーズンベストゲームと言ってもいいぐらいよかった。僕自身もそうですけど、チームとしても。やっと石川の調子が上がってきて、サーブも走って。『これいったな』と思ったんですけどね……」