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千葉監督は、なぜ時代と逆行する「地味でキツい練習」を課したのか? バレー天皇杯初優勝に迫った堺ブレイザーズの意識改革
posted2021/12/21 17:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
JVA
12月19日(日)、群馬・高崎アリーナで行われた令和3年度「天皇杯・皇后杯 全日本バレーボール選手権大会」男子決勝は、ウルフドッグス名古屋が堺ブレイザーズをセットカウント3対2で下し、5大会ぶり2度目の頂点に立った。
最終セット、19対17までもつれた激闘に、観客席からは両チームに向けた温かい拍手が湧き上がった。
決勝で惜敗した堺だったが、今大会の躍進には目を見張るものがあった。準々決勝では連覇を狙うジェイテクトSTINGSを2セット先取されてからの大逆転で破り、5大会ぶりにベスト4に進出。その後もJTサンダーズ広島にストレートで勝利し、実に13年ぶりとなる決勝進出を決めた。
あと一歩、初優勝には手が届かなかったが、最終セットでは序盤、1対6と大きく離されたもののしぶとく食い下がり、4連続得点で同点に。その後、再び14対11とリードを許し、名古屋が先にマッチポイントを迎えたが、そこから3連続得点で再びデュースに持ち込んだ。最後まで名古屋を簡単に勝たせなかった試合運びには、確実に成長のあとが見えた。
主将の出耒田敬は決勝後の会見でこう語った。
「結果は『悔しい』の一言に尽きるのですが、今の堺には、Vリーグもそうですし、黒鷲旗やこの天皇杯で決勝を経験した選手があまりいません。こうして決勝の舞台で戦えたことは必ず今後の糧になると思います。特に今日はうちのエバンズ選手の調子がなかなか上がらなかった中、それでも相手と互角に戦えた。力がついてきている証拠だと思います」
優勝から遠ざかる堺ブレイザーズ
12月5日で一旦、中断している2021-22V.LEAGUEでも堺はスタートダッシュを決め、11勝3敗32ポイントで10チーム中、2位につけている。堺のVリーグでのここ8シーズンの成績は、2013/14V・プレミアリーグでの3位を最後に4位、6位、6位、7位、6位、5位、7位と振るわず、下位に低迷していた。優勝は2012/2013のシーズンが最後で、当時の優勝を知る選手は松本慶彦(40歳)と千々木駿介(32歳)しかいない。
そんなチームに、今シーズン、一体、何が起きているのか。