甲子園の風BACK NUMBER
「試合の話はほとんどしないです」甲子園で輝けなかったある“プロ注エース”の再起…異国の地で与えられた「エースナンバー」のワケは?
posted2024/09/04 11:04
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
Fumi Sawai
2大会ぶり6度目のアジア王者を目指すU18アジア選手権大会が2日、開幕した。大会の流れを左右する香港との開幕戦。まっさらなマウンドに立ったのは背番号18の高尾響(広陵)だった。
小倉全由監督は前日の公式練習後に「開幕戦なので、コントロールのいいピッチャーを」と高尾にすべてを託したが、先頭打者にいきなり四球を与えてしまった。
「(先発を言い渡された時は)何とかチームを勢いづけられるようなピッチングをしたいと思っていました。でも……ちょっとブルペンと(球場の)マウンドの差があったというか。高さがちょっと違っていたんです。最初、慣れないところがあったんですけれど、(その後は)何とか(自分のペースで)投げられました」
2番、3番の打者から連続三振を奪い、四球の走者の盗塁を捕手の熊谷俊乃介(関東一)が二塁で刺し、結果的に3人で攻撃を終わらせた。2回も2三振を奪い、計2イニングで4奪三振、無安打。この日、藤田琉生(東海大相模)、田崎颯士(興南)と3人の投手で無安打継投となったが(5回)、その先陣を見事に切ってのけた。
名門・広陵で1年春からエース
高尾と言えば1年春から広陵で背番号1を背負い、長らく今世代を引っ張ってきた。
今年の4月に行われたU18日本代表候補の一次合宿では、その高尾の周りには常に同世代の投手らが集まり、質問攻めに遭った。特に今年のドラフト上位候補とも言われる今朝丸裕喜(報徳学園)や吉岡暖(阿南光)らは、高尾から変化球を教わり夏に向けて参考にしたと話していた。
4度目の出場となった今夏の甲子園だったが、3回戦の東海大相模戦で5回途中から2番手投手としてマウンドに上がるも、7安打5失点と精彩を欠き、チームも敗れた(1-8)。