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「始まる前から、終わっていたのかも…」田中希実がいま明かすパリ五輪後“衝撃の本音”「私はすでに満たされてしまっていたのかもしれない」
text by
泉秀一Hidekazu Izumi
photograph byRyosuke Menju / JMPA
posted2024/09/03 17:00
パリ五輪5000m予選で9位に終わり、0.98秒差で決勝進出を果たせず…ゴール後にはグラウンドに倒れ込んだ田中希実。五輪閉幕後に、その心境を明かした
「五輪は、選手のキャリアに影響する大舞台。皆、命をかけて臨んできます。スタッド・ド・フランスのスタートラインに立った時、いつも以上にライバルたちの気迫を感じました。だけど私は、フワフワしていた。調整がいつになく順調で、サポートしてくれるチームの雰囲気も良くて幸せだった。パリに着く前から、五輪に感謝しちゃってたんです。どんな成績でも受け入れてくれる仲間の存在に甘えて、死に物狂いで結果を残す覚悟がなかった。始まる前から、終わっていたのかもしれません」
実業団に所属しないプロランナーの田中は、チームを独自編成している。コーチである父はもちろん、自身もマラソンで2時間30分を切るほどの実力を持つ母からもアドバイスをもらう。合宿や大会には体のケアをしてくれるトレーナーを帯同し、合宿地の選定や移動をアテンドするコーディネーターもいる。スポンサーであるニューバランスの担当者は、取材対応などのマネジメントも担ってくれている。元1500mの日本記録保持者で解説者としてパリ入りしていた小林祐梨子も悩みを打ち明けられるお姉さんのような存在だ。小林は地元も同じ兵庫県小野市で、「家族のような付き合い」というほど信頼は厚い。実業団のように肩を並べて走るチームメイトがいないからこそ、田中にとってチームメンバーの存在はとてつもなく大きい。
だからこそ、だろう。田中は取材中、よく「みんなで」「仲間たちと」という言葉を口にする。自分が競技に取り組めるのは周囲の支えがあってのもので、レースで結果を残すことこそ、大切な人たちの存在証明につながると捉えているからだ。今の田中の目標は、自分の走りで「みんなの喜び」を増やすこと。そのために2種目で決勝に進出したかった。
だが一方で、競技そのものに集中できずにいた。
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