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【独占告白】「まったく想定していないシナリオ…」田中希実が語る5000m“予選落ち”の衝撃とパリ五輪“後”の解放感「私が活躍する大会じゃなかった」

2024/09/01
1500m準決勝は粘りの走りで3年ぶりに3分台を記録した田中希実
東京五輪1500mで日本女子初の4分切りを果たし、8位入賞。重圧に苦しみながらも走り続け、挑んだ2度目の大舞台では望む結果は得られずに涙を流したが、新たな発見と収穫も――。世界と戦う孤高のランナーに、五輪直後の率直な心境を聞いた。(原題:[独占インタビュー]田中希実「始まる前から、終わっていたのかも」)

 激闘から4日、取材場所に現れた田中希実は、清々しい空気を漂わせていた。出場した1500m、5000mの2種目で決勝進出を目標にしていた田中にとって、パリ五輪の結果は満足のいくものではなかった。1500mは準決勝、5000mは予選で敗れ、決勝進出は叶わなかった。それでも、田中は納得しているように見えた。

 取材場所は、ノートルダム大聖堂前のパティスリーショップ。店のガラスケースには芸術品のように美しいスイーツが並んでいた。「どれにしようかな」「これも美味しそうだな」。田中はガラスケースの中を楽しそうに見つめながら、マンゴーとココナッツのペイストリーを選んだ。大会中の張り詰めた表情が消え、本場パリのスイーツを前に嬉しそうな表情を浮かべていた。

周囲の期待も、自分に求める水準も高まっていた。

 東京大会からの3年間で、田中への注目度は急上昇した。2021年の東京五輪の1500mで日本人初の8位入賞を果たし、'23年の世界選手権では5000mで日本選手として26年振りの8位入賞、日本新記録をマーク(後に更新)。周囲の期待も、自分に求める水準も高まっていた。無意識のうちに膨らんだ重圧は、パリ五輪で弾けた。1500mの予選後、絶望的な表情でテレビのインタビューに答えた。

AFLO
AFLO

「いろんな人の生きた証を私の走りで証明したかったんですけど、ラストに気持ちが切れたような走りになってしまっていたんじゃないかというのが、すごく申し訳ないです」

 だからこそ、大会後に街を楽しむ様子を見て安堵した。パリ五輪は田中にとって、いかなる大会だったのか。閉会式翌日の8月12日、熱気が残るパリ市内で2度目の五輪を振り返った。

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photograph by Ryosuke Menju / JMPA

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