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冷静な大谷翔平が感情を出した“ある瞬間”…現地記者が見た「40-40サヨナラ満塁弾」のウラ側「あの男の一番すごいところは…」祝福ロハスの証言 

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阿部太郎

阿部太郎Taro Abe

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posted2024/08/30 17:03

冷静な大谷翔平が感情を出した“ある瞬間”…現地記者が見た「40-40サヨナラ満塁弾」のウラ側「あの男の一番すごいところは…」祝福ロハスの証言<Number Web> photograph by Getty Images

史上6人目となる「40本塁打、40盗塁」を劇的なサヨナラ満塁弾で達成した大谷翔平。現地記者が見た「おとぎ話」のような一夜のウラ側とは

 快挙に沸いた23日。囲み取材が終わると、すぐにシャワーを浴びて家路に急いだ。毎週、本拠地の金曜日にはドローン・ショーがあり、ファンが試合後も残っている。ファンが帰る時間帯になれば、ロサンゼルス名物の渋滞に巻き込まれ、睡眠時間にも影響が出るかもしれない。主役の幕引きは早かった。

 普通の選手なら、あの夜、興奮して寝られないのかもしれない。だが、大谷は以前、こう話していた。「投手の時は多少興奮して寝られないことはあるが、バッターはない」。

 ぐっすり寝たのだろう。翌日、あっさりと41号を打った。

大谷翔平が感情を出した“ある瞬間”

 大谷が満塁弾を放って最初に迎え入れたのは、ベテランのロハスだ。

 満塁のチャンスはロハスのお膳立てから。三塁線に巧みに犠打を決めて、二・三塁の状況をつくった。その価値ある仕事に敬意を表したのだろう。大谷は「今日も最後、僕は打ったけど、まずそこまでのチャンスを作ってくれる作業がもちろん必要。そういう人たちのおかげで今日打てた」と、仲間を称えた。

 翌日、ロハスが大谷について話してくれた。

「翔平のことは『GOAT(史上最高の選手の略)』と呼んでるんだ。誰にも真似できないことをやるからね。でも、あの男が一番すごいのはメンタルに浮き沈みがないこと。常に一定の精神で、同じ姿勢で試合に向き合っている。あの『40-40』をやった時でさえ、普通のようだった。この姿勢がすごく好きだね。でも、オフモードだと、犬のことを話すのが大好きな男。挨拶は、犬の舌を出すポーズにしているんだ」

 インタビュー中にウォーターシャワーを浴びせて祝福した行為にも、ロハスの思いがあった。

「彼を祝いたかった。なかなか達成できない記録だったし、彼のキャリアの特別な瞬間だったから」

 大谷は歓喜のシャワーを浴びてどういう気持ちだったか。背番号17はニコッと笑った。会見で、一番、感情が出た瞬間だった。

「もう単純に、すごい嬉しかった。やっぱり勝てたのが何より嬉しい」

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