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フェルスタッペンも頭を抱えるレッドブルの凋落…その一因となった離脱者続出のチーム内権力闘争の真相とは 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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posted2024/08/30 11:02

フェルスタッペンも頭を抱えるレッドブルの凋落…その一因となった離脱者続出のチーム内権力闘争の真相とは<Number Web> photograph by Getty Images

オランダGP決勝後の会見前、文字通り頭を抱えたフェルスタッペン。ランク2位ノリスとの差は80点にまで縮まった

 そんな矢先の今年2月、ホーナーが女性従業員に対する不適切行為で告発を受けたことが明らかになった。レッドブルはこの件について調査を行なった結果、潔白が証明されたと発表してホーナーを不問に付した。だが、女性従業員が告発するにあたって、マルコに機密情報を漏洩したという嫌疑がかけられ、停職処分を受ける可能性が噂された。

 この状況に釘を刺したのがフェルスタッペンだった。問題が表面化した今年のサウジアラビアGPの公式会見で、フェルスタッペンは「マルコをチームから追い出すようなことをすれば、自分も離脱を辞さない」と語気を強めた。

「彼に対する忠誠心はとても大きい。僕の意思決定において彼の存在は重要な役割を果たしてきたし、これからも同様だ。そのことをあらためてチーム内、上層部の全員に明確に伝えたい」

 現役チャンピオンの反旗にホーナーも態度を軟化させ、関係修復を試みた結果、マルコは26年まで残留する契約をチームと交わしたと言われている。これで表向きには、2人の間に入った亀裂は修復された。だが、権力闘争を間近で見てきたチーム内のほかのスタッフにとっては、チーム離脱を決断する決定打となってしまった。

 5月にはレッドブルの強さを生み出した「空力の鬼才」エイドリアン・ニューウェイの離脱が発表され、夏休みに入る直前にはチームのまとめ役を担うスポーティング・ディレクターのジョナサン・ウィートリーの移籍も明かされた。

止まらぬ人材流出

 長年チームの精神的支柱となってきた2人の離脱は、チーム内に動揺を与えるのに十分だった。ライバルのマクラーレンでCEOを務めるザック・ブラウンは、レッドブルの現状を次のように表現した。

「あのチームはいま、かなり不安定だ。なぜなら、レッドブルから多くの履歴書が乱れ飛び、われわれの元にも届いているからだ。人材流出はまだまだ続くだろう」

 流出する人材の候補には、フェルスタッペンの名前も挙がっている。

「僕の人生において100%ということは存在しない。これから何が起こるか、自分の周りがどうなるか、それが自分にどんな影響を与えるのか……だれにもわからない」

 いまフェルスタッペンはコース上だけでなく、コース外でも戦っている。それは彼にとって速く走ることよりも難しい、いままで経験したことがない難題だろう。

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