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WWE挑戦のジュリア「マリーゴールドに来て本当によかった」“感動のラストマッチ”で何を残したのか?「根っこにあるのは日本の女子プロレス」
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2024/08/29 17:01
マリーゴールドの選手たちによる胴上げでWWEに送り出されたジュリア。8月25日、新木場1stRING
お別れの“全員掛け”に込めた思い
ジュリアはロンドン生まれだが、1歳の時までだから当時の記憶はない。一方、父の故郷であるイタリアの思い出はある。イタリア人の父と日本人の母の間に生まれたのが、日本人のジュリアだった。
「日本語上手ね」と言われて「こんな顔していてごめんなさい。日本人なんです」と謝ってしまうジュリアが、WWEでどういうキャラクターとして扱われるのかはわからない。
かつて出演したYouTubeの動画では「英語がうまくない」という評価をファンから受けたジュリアだが、すぐに英語のトレーニングを始めていた。
ロッシー小川もいつWWEからジュリアが呼ばれるのかについては「向こう次第で知らない」と言っていた。夏頃というのが目安だったようだが、その通りでストーリーは急展開を見せた。ジュリアは限られた大会でのカウントダウンに入った。
後楽園ホールで行われたラスト・シングルマッチの相手は桜井麻衣だった。ジュリアは桜井が「プロレスラーらしくなった」と喜んだ。気持ち的にも技術的にも、数年前とは比較にならないほど桜井は成長していた。
「ジュリアに出逢えて本当によかった」と桜井は思っていた。
おまけの“全員掛け”は新木場1stRINGで行われた。マリーゴールド所属全選手のほかに藤本つかさやNØRI(法DATE)を加えて、新人の勇気みなみで始まり、練習生を挟んで、26人目の林下詩美まで続いた。その中でジュリアからフォールを奪ったのはビクトリア弓月だけだった。
ドイツから来て人気上昇中の「大怪獣」ボジラは近い将来WWEに行く可能性があるので、WWEのリングでジュリアvs.ボジラが見られることになるかもしれない。
「会わなくてはいけない選手。私をこの世界に引きずり込んだ女」と評する藤本との手合わせに関しては、「見た人が見たように感じてくれればいい」とジュリアはあえて言葉にしなかった。