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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「AZMと天咲にも急がせるつもりはなかった」スターライト・キッドが明かす“新ユニットNEO GENESIS結成”への思い《特別グラビア》
posted2024/08/30 11:03
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Essei Hara
スターダム生え抜きの覆面レスラーであるスターライト・キッドが、選手人生の新たな一歩を踏み出した。キャリアの第3章だ。選手が多く流れの速いスターダムにあって、3カ月という時間をかけての“選択”だった。
4月27日の横浜大会、キッドは所属していたヒールユニット・大江戸隊を突如として追放される。予兆などまったくない、突然の出来事。ただその後、大江戸隊のメンバーはテクラ、上谷沙弥を引き入れて新ユニット・H.A.T.E.を結成している。キッド追放から、団体全体に及ぶユニット再編の流れが始まっていたのだ。
キッドが掴んだ“自分で自分の道を決める自由”
スターダムでのマッチメイクは、ユニットごとの覇権争いが基本となる。“無所属”となったキッドは日々、違うユニットに混じって試合をすることになった。STARSでベビーフェイスとして岩谷麻優の横で輝いたのがキャリアの第1章、大江戸隊でのヒール時代が第2章。4月から6月までは、大江戸隊以外のユニットとすべて組む、キャリアの“2.5章”を過ごした。
大江戸隊追放の直後、コズミック・エンジェルズを率いる中野たむに手を差し伸べられたのだが、キッドは態度を保留した。
「今は何も考えられない」
それが偽らざる心境だった。ライバルであるなつぽいとのタッグも話題になったが、新たな所属ユニットをなかなか決めなかった。それは次の選択=第3章がキャリアの中でも最大級に重要なものになると考えていたからだ。
STARSも大江戸隊も、自分で主体的に選んだユニットではなかった(STARS復帰のチャンスを拒否したことはあったが)。大江戸隊を追放されて以降は、つまり“自分で自分の道を決める自由”を初めて得たのだ。あらゆる可能性を試したくて、だから時間がかかった。