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「めちゃくちゃ楽しいです」打撃開眼! DeNAの新“切込隊長”梶原昂希24歳、ヒット量産のわけは…「打席では棒立ちくらいのイメージで」 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph bySankei Shimbun

posted2024/08/26 11:06

「めちゃくちゃ楽しいです」打撃開眼! DeNAの新“切込隊長”梶原昂希24歳、ヒット量産のわけは…「打席では棒立ちくらいのイメージで」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

苦しいチーム状況の中で奮闘する3年目、梶原昂希

「一番大事なのはタイミング。どうしても打席っていうのはピッチャー主導のタイミングになってしまうので、それをいかに自分のタイミングにもっていくか。よく“立ち遅れ”って言うんですけど、相手に合わせようとするとどうしても差し込まれるので、感覚的には“受ける”のではなく“待ち構える”。タイミングを一番取りやすいカタチにどうやってもっていくか。その上で、フォームや立ち位置、スイング軌道といったものがついてくるんです」

 ファームでは100打席以上に立ち、自分の感覚をすり合わせて3割を超える打率を残すと、晴れて5月30日に再昇格。ここから梶原の快進撃はスタートする。

 とくに7月15日の広島戦(横浜スタジアム)で3安打を放ったあたりから、手が付けられない状態になっていった。15試合連続出塁に加え、7月21日のヤクルト戦(神宮)では4安打、さらに8月10日のヤクルト戦(横浜スタジアム)では5安打を放っている。インサイドや高めのボールでもスムーズにバットが振れ、ゾーンの見極めも的確になった。梶原はこの時期“ある変化”があったことを教えてくれた。

身につけてきた「ニュースタイル」

「交流戦の終わりぐらいに、今のバッティングに新たなモノを加えようと石井(琢朗)コーチや鈴木(尚典)コーチと毎日話し合って“ニュースタイル”に取り組んできたんです。それが馴染んできたのが、7月半ばぐらいからでした」

 果たしてニュースタイルとはなにか?

「僕は元々ローボールヒッターで低めをカチ上げるスイング軌道だったんですけど、それだけだと弱点が多い。なので、元々の良さを生かしつつ、そこを補うようなスイングを模索したんです。探り探りですが、練習やゲームでそれがようやく自然に噛み合うようになっていった感じですね」

 低めばかりでなく、ベルトから上、両サイドへの対応。そして持ち味である長打に関しても、執着することをやめた。

「1、2番を打つ上で、うちのチームは後ろを打つ佐野(恵太)さん、オースティン、牧(秀悟)さん、宮﨑(敏郎)さんのクリーンナップが強力なので、僕があえて長打を狙う必要はないのかなって。それよりも内野安打だったり、足を生かした方が相手からしたら嫌なんじゃないかって。だから単打でもいいから、しっかりアプローチすることを心掛けています」

 自分の特性とは何なのか。求められている役割とはなにかを吟味したことで、梶原は一皮むけることに成功した。

 自分自身を深く知ることが、スランプに陥ったときに一番の処方箋になるわけだが、梶原が“戻る場所”として現在心掛けていることはなにか。そう問うと、梶原はよどみなく言葉を発した。

【次ページ】 力を「抜く」練習

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