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「めちゃくちゃ楽しいです」打撃開眼! DeNAの新“切込隊長”梶原昂希24歳、ヒット量産のわけは…「打席では棒立ちくらいのイメージで」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySankei Shimbun
posted2024/08/26 11:06
苦しいチーム状況の中で奮闘する3年目、梶原昂希
「今の力感や当て勘を自分のモノにしてしまえば、後々いくらでも長打は打てるはずなので、今はとにかく打率と出塁率にこだわること。そうすれば、もうひとつの武器である足も生かすことができる。“0‐100”ではなく50~60%の打席をどこまで増やせるかが大事になる。結果が出ているので自信になるし、これを続けることができれば“確信”に変わると思うので、そこまで何とかもっていきたいですね」
初めてのお立ち台で
数字は嘘をつかない。先に8月のOPSは.934と記したが、その内訳は出塁率.374、長打率.560である。リードオフマンとして第1打席でヒットを重ね攻撃の口火を切ると、また8月9日のヤクルト戦では2年4カ月ぶりとなるプロ2号ホームランを放っている。この試合で梶原は、プロ入りして初のお立ち台に上がった。大観衆の中、初めて見上げる横浜スタジアムの風景に心が震えた。
「初めて味わった雰囲気でしたし、素直にうれしかったですね。ああやってチームの勝利に貢献できたのは、ありがたいなと思いましたし、自分でもよく頑張ったなって。これからもあそこに上がる機会を増やしたいです」
実感を込めそう語ると梶原は微笑んだ。「野球、楽しいですか?」と改めて尋ねると、梶原はさらに口角を上げた。
「めちゃくちゃ楽しいです! シーズン序盤こそ自分のことで精一杯だったんですけど、出場機会をもらえる中で、いろいろなことを考えられるようになりました。毎回同じように打席に入るのではなく、初球をじっくり見たり、長打や進塁打を狙ったり、ここ最近そういったことができるようになってきたので、だいぶ視野は広がってきたのかなって。結果を求めつつ自分のプレーを楽しみながら打席に立つことができています」
プロ3年目で知る最前線の野球の奥深さ。言葉や体からプレーをする喜びがあふれ出ているようだ。
「まだ完全ではないにせよ、シーズン前にイメージしていた自分にだいぶ近づけた実感はあります。ただ、ニュースタイルを始めたばかりですし、きっと研究され、相手の攻め方も変わってくると思うので、そういった中でも結果を出すことができれば更なるレベルアップにつながると思います。現状に満足することなく、まだ登り坂の途中だと思って頑張っていきたい」
勝負の秋に向けて
足元をしっかりと見た発言。その口調からは油断も隙も感じられなかった。俊足好打で将来的にはトリプルスリーも狙える梶原の願いは、あくまでもチームの勝利であり、そこにコンスタントに貢献できればキャリアアップできると信じている。
「今後は本当に負けられない試合ばかりなので、試合に出させてもらう以上は勝つことだけに集中したい。それに僕はまだアピールする立場なので、チームに“新しい色”として、どのように入り込んで行けるのかを考えてプレーすることですね。まあやることは変わらないのですが、とにかく勝利に貢献できるよう自分のプレースタイルを存分に発揮していきたいと思います」
残り約30試合。チームの上位進出、また来季のレギュラー取りを見据えても、梶原にとっては大事な秋になりそうだ。果たして自信を確信に変えることはできるのか、若きアウトフィールダーから目が離せない。